カワカミー賞発表! [Alexandros]川
上洋平、2021年のベストムービーやベ
ストアクターを語る【映画連載:ポッ
プコーン、バター多めで PART2】

大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。今回は独断と偏見で選ぶ「2021年カワカミー賞」を発表。ベストムービーに加え、いくつかのジャンルに分けてのそれぞれのベスト作品やベストアクターを発表します!
ベストアクション賞:『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
2021年もいろんなアクション映画を観ましたがこれが一番でした! 1がすごく好きで続編ということで楽しみにしていて。コロナ禍での公開だったけど、アメリカではかなり興行収入も良かったし待ち望んでいた人も多かったんじゃないですかね。アクションっていっても、ジェイソン・ステイサム的なアクションではなくて、パニックムービーという感じではあるんですけど、僕としてはアクション映画としてもめちゃくちゃ楽しめました。1と2の差が明確なのが良かったですね。1は親が子供を守ろうとする親子愛が描かれていて、続編では逞しく成長した娘と息子が主人公のように描かれていて。前作の焼き回しではなく、続編を作る意義がすごく感じられました。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
完成披露IMAX試写会でリアド(偉武)と一緒に観させてもらったんですが、リアドも大満足でしたね。映画館ってそもそも静かですけど、『クワイエット・プレイス』を観る時はみんながより一層静かにしてる感じにニヤニヤしちゃいました(笑)。すごく良い環境で観させていただいて配給会社の方にも感謝ですね。
2021年のアクション映画っていうと、世界的には多分『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』になるんだと思いますけど、僕は完全に『クワイエット・プレイス』です。『007』はすごく好きなシリーズっていうこともあって、個人的なエゴで今回の結末にはいまいちピンとこなかったんですよね。
※『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を取り上げた回はこちら
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
ベストロマンス賞:『パーム・スプリングス』
すごく良い映画でした。これを観た直後にユーミン大先輩(松任谷由実)のラジオに出させていただく機会があったんですけど、「おすすめの映画はある?」って訊かれたので、思わず『パーム・スプリングス』を挙げさせていただきました。ユーミン大先輩が結局観てくれたのかが気になりますが(笑)。
タイムリープものなんですが、主人公の男女がどっちも別に褒められたようなキャラクターではなくて。そんなふたりが織りなすドタバタタイムリープラブコメディーっていう感じの設定もおもしろかった。僕が一番新しいなって思ったのは、永遠に同じ日を繰り返してしまうっていう問題を女性の方が奮闘して解決しようとするところ。時代を感じるなあって思いました。
『パーム・スプリングス』より
主人公の女性がちょっとビッチなんですよね。『ハッピー・デス・デイ』っていうタイムループもののホラー映画も主人公の女性がビッチで。かつてのホラー映画は、主人公の女の子は良い子で最後までバージンを守ってるみたいな設定も多かったけど、最近は清廉潔白みたいな感じじゃない作品が多いなって。こういう動きはMeTooやフェミニズムとはまた違うところで、リアルさを感じて良いなって思いますね。
『パーム・スプリングス』はLAから車で2時間くらいで行ける砂漠のリゾート地のパーム・スプリングスが舞台っていう設定なんですが、コロナ禍でなかなかリゾート地に行けない状況もあって、「こういう場所に行きたいな」ってすごく思いました。
※『パーム・スプリングス』を取り上げた回はこちら
『パーム・スプリングス』より
ベスト笑った賞:『マリグナント 狂暴な悪夢』
年末にサトヤス(庄村聡泰)と会う機会があって、「今年はどんな映画が良かった?」みたいな話をしたら「『マリグナント』がめっちゃ良かったよ」って言ってたんです。俺としては、監督のジェームズ・ワンが手掛けた『死霊館』シリーズと『インシディアス』シリーズはかなり好きなんですけど、『マリグナント』は予告編を観たらそこまで惹かれなかったんですよ。「ちょっとおもしろそうだけど普通かな」みたいな。それで観てなかったんですけど、サトヤスが「絶対観た方が良い」って言うから観たんですね。サトヤスが言ってる“おもしろい”の意味がわかったのは後半だったんですが、確かに新しくて笑えて、映画館だったら絶対笑い起きるでしょ!って思った(笑)。サトヤスがおもしろいって言う映画って大体ちょっと変なんですよね。エクストリームっていうか、普通の人だったら引くでしょ?みたいな設定や描写が好みで、『マリグナント』はまさにそうでした。
『マリグナント 狂暴な悪夢』より
主人公に起こる異変の正体っていうのが、ちょっと『ブラック・ジャック』のピノコを思い出しました。僕が好きな『インシディアス』と『死霊館』みたいなホラーものを期待していると、「これはホラー映画としてどうなんだろう?」って思うところはあるんですが、めっちゃ笑ったのでカワカミー賞ベスト笑った賞です。ベストコメディ賞じゃないのがミソです(笑)。
2021年は正直コメディ映画で「おお!」って思ったのはそんななかったかも。『ドント・ルック・アップ』は良かったですが、あれは大爆笑する感じじゃなくてニヤッてさせられるブラックコメディだし。ライアン・レイノルズの『フリー・ガイ』は笑いましたけどね。
『マリグナント 狂暴な悪夢』より
ベストサスペンス賞:『RUN/ラン』
間違いなくおもしろかったです。完璧だったかもしれない。そんなに評価されてない感じが不思議なんですけど。ヒッチコック映画とか、いろんな作品のオマージュも込められてる作品なんですが、僕としては『エイリアン』シリーズのリドリー・スコット感が強かったです。お母さんから逃げるっていう設定だけでも、『エイリアン』感があるし。母役のサラ・ポールソンがエイリアンで、娘役のキーラ・アレンちゃんがリプリー役みたいな感じ。娘は足にハンディキャップを抱えながら逃げるわけですけど、お化けが相手じゃないホラー感のある映画ってすごく好きですね。しかも、一番身近な母から逃げるっていうあまり見たことない設定で。母と娘以外の登場人物がそこまで出てこないのも良かったです。
『RUN/ラン』より
こういう映画って笑っちゃうぐらいのヤバさがある方がいいですよね。娘が自分が投与されている薬は本当は何の薬なんだろう?って調べていって真実を知った時のビビりよう(笑)。目の開き具合とか、不謹慎だけど笑っちゃいました。お母さんが料理してるところとか、ひとつひとつの挙動が怪しく思える。ふたりとも演技が素晴らしかったですね。
ベストサスペンス賞の次点は『ブラックボックス:音声分析捜査』ですね。最初はもうちょっと淡々といくのかなって思って観てたんだけど、どんどんダイナミックな展開になっていって、これも最後までおもしろく観れた映画です。
※『RUN/ラン』を取り上げた回はこちら
『RUN/ラン』より
ベストアニメーション:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
実写映画メインの映画好きの僕からすると、映画館で映画を観る時に、ついアニメ映画より実写映画を優先してしまうことが多くて。アニメ映画っていうと、ジブリやディズニーは割と観てるけどっていうくらいで造詣が深くなかったんです。でも『閃光のハサウェイ』の主題歌の『閃光』を作らせてもらったことがきっかけでいろんなアニメ映画を観るようになりました。
主題歌を作る前、まず『逆襲のシャア』を観て、原作の小説も読んで、絵コンテを見させてもらったんですが、映画自体が完成したのは曲を作り終えた後で。それを映画館で観させてもらって、「これはすげえな」と。まず、音がこんなデカくていいのかって思うくらいだったんです。低音もすごく響いていて。
Ⓒ創通・サンライズ 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』より
監督の村瀬(修功)さんが、プロデューサーに「007シリーズのようなスパイ映画の雰囲気」っていうオーダーをしてたらしいんですが、冒頭からそういう要素がふんだんにちりばめられていて。もうジェームズ・ボンドじゃないか?ぐらい感じでした。あと、ノーラン的な感じもあって、劇伴もハンス・ジマー感があったし。「今こういう映画が観たい」っていう要素が詰まってる映画だと思いました。小説を読んで「こういう風になったらいいなあ」って思っていたイメージにさらに重厚感が足された感じもした。実写映画好きな人でも満足できるアニメーション映画だと思います。アニメ映画といえば、[Alexandros]が主題歌を担当した『グッバイ、ドン・グリーズ!』も公開中なので、そちらも是観ていただきたいですね(笑)。
Ⓒ創通・サンライズ 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』より
ベストアンビエント賞:「PITY ある不幸な男」
めちゃくちゃ好きでした。最終的にはアンビエントではないんですが、淡々とことが進んでいくっていう意味でベストアンビエント賞です。主人公の奥さんが事故にあって長らく昏睡状態が続いていて、それで周りの人は同情して優しく接しているわけですが、主人公がその状態に快感を感じちゃってるっていう。それで、同情されなくなって狂気を発動していくっていう話なんですけど、多分ミュンヒハウゼン症候群の一種ですよね。そういう意味では誰にでも陥ることだと思うし。よくある悲劇のヒロインぶるみたいなことも、そうであることが本人にとっては快感なわけですしね。みんながみんな心配して構ってくれるのが嬉しいみたいな。この映画の主人公みたいに極端に狂気を発動させるのはなかなかないかもしれないけど、サスペンス感もあって好きでしたね。
『PITY ある不幸な男』より
監督を務めるエフティミス・フィリップはヨルゴス・ランティモスの作品の脚本を手掛けていて、『ロブスター』でアカデミー賞脚本賞にノミネートもされてるんですが、僕としては『ロブスター』は好きだけど、SFチックで非現実的感が強いなあって思ってたんですけど、『PITY』はかなりリアルでより一層不気味な雰囲気があって好きですね。
『PITY ある不幸な男』より
ベストアクター:柳楽優弥(『浅草キッド』)
ビートたけしさんを演じるってすごく難しいと思うんですよ。ご存命だしモノマネする人もすごく多い。『浅草キッド』はコーチングを松村邦洋さんが担当していて、モノマネの人にモノマネのポイントを教わった上で演技をする。それってモノマネの要素もあるかもしれないけど、結構ギリギリなところを狙う感じですごく難しいんじゃないかなって。でも柳楽さんの演技はビートたけしさんが乗り移って見えるぐらいすごかった。僕はもちろん、深見千三郎さんのお弟子さん時代のビートたけしさんが実際どういう感じだったのかほとんどの人が知らないと思うんです。でも、「こういう感じだったのかな」って思わせる演技は本当にすごいなと思いました。
『浅草キッド』より
ベストアクター:ロザムンド・パイク(『パーフェクト・ケア』)
合法的に高齢者から資産を奪う悪徳法廷後見人の役なんですが、「ただじゃ死なねえ」みたいな感じがめちゃくちゃ逞しくて、もうロザムンド・パイクこそエイリアンなんじゃないか?ぐらいの強さを感じました(笑)。この役の演技はムカつくし怖かったし、でも爽快で痛快でめちゃくちゃ良かった。 これからもああいう演技が見たいって思わせる魅力を持ってる女優さんですよね。
※『パーフェクト・ケア』を取り上げた回はこちら
『パーフェクト・ケア』より
ベストアクター:サラ・ポールソン(『RUN』)
さっきも話しましたし、過去の回でも何度も言ってますけど、やっぱり『RUN』のサラ・ポールソンはすごいです。もし『RUN』のサラ・ポールソンと『パーフェクト・ケア』のロザムンド・パイクでエイリアン映画を作るとしたら、ロザムンド・パイクが追いかけられる方のエイリアンで、サラ・ポールソンは追いかける方のエイリアンみたいな(笑)。そう思う程、不気味な怖さを感じる演技でしたね。
『RUN/ラン』より
ベスト作品賞:『ビバリウム』
2021年上半期カワカミー賞で「今のところの2021年ベスト」って言ったんですけど、年間通してもやっぱり『ビバリウム』でした。おもしろい映画は他にもたくさんあったし、正直言って内容的には『ビバリウム』を超えてるなって思う映画もたくさんあったんですけど、とにかく一番印象に残った。「2021年って何の映画があったっけ?」って思った時に「あ、『ビバリウム』だ」って思う感じ。肺のあたりなのかわかんないけど、そのへんに残ってるっていうか、とにかくこびりついてる感じなんですよね。アート性の高さも若干あるけど、難解なわけじゃなくてちゃんとエンタメとして楽しめるし、あとで考察ができる余地も与えてくれる。だからおすすめしやすい映画でもあります。あと、セットが気持ち悪いし、変な映画ではある。「誰がどうやってこんな映画作ったんだ?」って思えるすごい映画だと思います。
※『ビバリウム』を取り上げた回はこちら
『ビバリウム』より
特別賞:イモージェン・プーツ(『ビバリウム』、『恐怖のセンセイ』)
『ビバリウム』も『恐怖のセンセイ』も2019年の作品なんですよね。どっちもイモージェン・プーツとジェシー・アイゼンバーグが出ていて両方ともすごくおもしろくて。イモージェン・プーツは僕が一番好きな女優さんなんで、何らかの賞を受賞させたくて特別賞を作りました(笑)。この前2021年のラジー賞のノミネートが発表されてたんですけど、「2021年のブルース・ウィルスの最低演技賞」っていうカテゴリーが設けられていて本当にひどいなって(笑)。それで僕もこの賞を作ってみたんですが、もちろんこれはラジー賞と違って良い賞です。
イモージェン・プーツはもう僕の中で殿堂入りしてますね。歌詞にも出てくることもあって、Googleでイモージェン・プーツを検索すると一番最初に「イモージェン・プーツ 川上洋平」って出てきて、付き合ってるみたいな光栄なことになってるんですけど(笑)。もちろん付き合ってはいなくて、イモージェン・プーツは多分イギリスの俳優さんか誰かとお付き合いされてると思うんですが、来日したら対談とかできたらいいなって。あまり言いすぎるとどんどん気持ち悪くなってくるのでこの辺でやめておきます(笑)。
『ビバリウム』より
2021年のカワカミー賞はこの連載で取り上げた映画がほとんどでしたね。毎回取り上げる作品って、小松さんが選んだ候補の中から俺が選んで決めてるんですけど、今までほとんど外れがないまま来てますね。僕も映画好きを何年もやらせてもらってますけど、予告編で大体おもしろいかおもしろくないかわかるんですよね。もっと言うとメインのビジュアルだけでもわかる。『ビバリウム』もビジュアル見て絶対おもしろいだろうなと思いましたから。
2021年は結局111本観ました。2020年が103本だったので少し増えましたね。上半期終わった時点では、ツアーが終わる10月~12月で追い上げて150本目指す予定だったんですが、結局あんまり時間が取れなかったですね。でも素敵な映画が多かったです。
※2021年上半期カワカミー賞はこちら
取材・文=小松香里
撮影=河本悠貴 ヘア&メイク=青山志津香(vicca)
アレキ像制作=しげたまやこ
※本連載や取り上げている作品についての感想等を是非spice_info@eplus.co.jp へお送りください。川上洋平さん共々お待ちしています!

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