米澤森人、新進気鋭のシンガーソング
ライターが紡いだ珠玉のポップソング
が溢れた夜

米澤森人"冬のはじめ" Release Party 2022.02.18 新宿LOFT
2月18日(金)、米澤森人が昨年12月に発表した配信シングル「冬のはじめ」のリリースパーティーを、新宿LOFTで開催した。
この日のゲストとして招かれたのは、ぜったくん。米澤がぜったくんのサポートキーボードを務めたり、一緒に楽曲を制作したりするだけでなく、プライベートでも親しい間柄なのもあり、お互いのことを“盟友”と呼び合う彼ら。ぜったくんは「ここで2マンをやれている現状がすごく嬉しいです。(コロナ禍で)こんな状況ではあるけど、今日ここに来たことだけでしか得られない楽しさ、間違いないものを、みんなに持って帰ってもらいたいです。僕も間違いないものを提供しますので、よろしくお願いします!」と、気合十分。女性コーラスのキミカとMPCプレイヤーのKO-neyとの3人編成で、親しみやすさはありながらも、ローの迫力がとにかく強烈なポップナンバーで、終始オーディエンスを盛り上げ続けていた。
ぜったくん
ぜったくんからのバトンを受け取り、いよいよ米澤のステージに。この日はべース・藤本僚太郎、ドラム・久保佑太、そしてキーボードは米澤のトリオ編成だ。1曲目は「コップ」。迫力のある低音が生み出す心地よいまどろみ感の中で、柔らかな歌声を届けていく。続く「CASE」では、バンドメンバーと顔を合わせながらグルーヴィーにフロアを揺らすと、立て続けに「春風は君のもの」へ。爽やかさはありながらも、どこか少しだけ感傷を帯びた旋律と、軽快でダンサブルなビートを全身で受け止めると、淡い春の景色が目の前に立ち上がってくるだけでなく、その匂いや温度までをも感じられるよう。米澤は鍵盤を奏でながらも、ときにマイクを握り、客席へ向けてじっくりと歌を届けていく。
米澤森人
そこからも、メロウな空気でフロアを満たした「36度」や、跳ね上がる鍵盤の音色が胸の内に秘めた喜怒哀楽をくすぐる「Bitter」、うねるウォーキングベースと軽やかに絡み合う「イヤーワーム」と、次々に曲を届けていく米澤。彼の楽曲はR&Bを土台にしているものが大半で、シティポップ的な文脈に結びつけられるグルーヴィーなものもあれば、オルタナティブR&Bを通過した現代的なサウンドプロダクションとして位置づけられるものもある。そんな楽曲群を米澤は歌い、抑揚を付けて鍵盤を奏でていくのだが、抑揚でいうところの“揚”の部分──つまり、かなり強いタッチで鍵盤を弾いていく。そういった演奏を「鍵盤を叩くように」と表現することがあるが、まさにその文字通りといった感じ。すんなりと身体に染み込んでいくメロディであり、前述のような景色、匂い、温度までが浮かび上がってくる歌詞やサウンド感は、間違いなく彼が目指している万人の胸に響くポップスになっているが、その演奏を現場で体感すると、かなり刺激的だ。
藤本僚太郎
久保佑太
ライヴの中盤では、米澤がひとり弾き語りで曲を披露することに。まずは「neutrino」を優しく、ときに力強い歌声とタッチで届けると、そのまま「ラストシーン」へ。ファルセットを交えた伸びやかなロングトーンを響かせながら、鍵盤の上を凄まじいスピードで指を走らせていく。儚さや繊細さを感じさせながらも、それでも前へ向かって足を踏み出そうとしている情景は、かなりエモーショナルで、彼の歌声であり卓越した演奏力をじっくり堪能できるものになっていた。
米澤森人 / ぜったくん
ライヴ終盤では、バンドメンバーの2人と、ゲストのぜったくんが再びステージに登場。フロアで米澤のライヴを観ていたというぜったくんは「最高です」と讃えつつ、「普段よく話しているから、ここで話すことがあんまりないよね」と、2人は笑みをこぼす。そして、4年前に米澤とぜったくんが共作した「Jealousy Rail」が披露された。お互いが田園都市線沿線に住んでいるということもあって生まれたという逸話を話していたが、ネオソウル的なロマンティックでスムースなサウンドがなんとも極上な秀曲。ためを存分に効かせたビートの上で、ぜったくんはラップ、米澤は弾き語りで歌を届けていくその姿は、なんとも楽しそう。お互いの才能をリスペクトし合っている者同志の共演に、オーディエンスも心地良さそうに身体を揺らし、大きな拍手を送っていた。
米澤森人
曲を終え、舞台袖にはけたばかりのぜったくんに向かって、そしてこの場に足を運んでくれたオーディエンスに感謝を告げる米澤。その表情は喜びに満ち溢れていたが、その感情をさらに大きく膨らませていったのが、本編の最後の曲として披露された「冬のはじめ」だ。ホーンセクションを擁した華やかなサウンドに、フロアからは自然とクラップがあがり、それを受けた米澤の熱もさらに高まっていったところは、この日のハイライトでもあった。
鳴り止まないオーディエンスの手拍子に導かれて、再び登場した米澤は、「人生初アンコールです!」と、嬉しさとちょっとした照れ臭さを交えながら伝えると、客席からの拍手も大きくなる。そして、改めて感謝を述べた後、「雪の降る街」を披露。自然と顔がほころび、心が温かくなる楽曲の余韻を残しながら、リリースパーティは終了。ここからも彼が紡いでいく珠玉のポップソングに期待が高まるエンディングであり、ステージだった。

取材・文=山口 哲夫 撮影=大橋 祐希
米澤森人

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