瀬戸かずや、宝塚退団後初めてのコン
サートに挑む心境を直撃

宝塚歌劇団花組で男役の美学を貫くスターとして活躍し、2021年7月、惜しまれながら退団した瀬戸かずや。2022年4・5月に上演されるファーストコンサート『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』では、元宝塚歌劇団花組トップスターのANJU(安寿ミラ)が構成・演出・振付を手がけ、スペシャル・ゲストとして元月組トップスター真琴つばさと元花組トップスター真飛聖が登場する。瀬戸にコンサートへの意気込みを聞いた。
――宝塚退団後、初めてのコンサートとなります。
宝塚の男役として積み重ねてきたもの、卒業して変化していく自分、その境目の時である今しか表現できないものもあると思いますし、変化の段階のありとあらゆる面を皆さんにお見せできたらいいなと思っています。自分自身でもいろいろ探って、新たな発見もしていけると思います。内容はこれから打ち合せしていくのですが、懐かしの曲、宝塚時代の曲も歌えたらと思っていますし、いろいろなジャンルの曲にもチャレンジしようかなと。タンゴをしっかり踊ってみたいという思いがあったので、男と女、どちらのポジションを踊るのか……は、想像にお任せしますが(笑)、どちらになったとしても楽しみたいなと思っています。ANJUさんには、この曲どうでしょうかと、いくつか候補曲を出させていただいたのですが、最初に持ち寄った曲が二人で同じだったというところがすごく偶然で。共通のイメージがあったんだなと、とてもうれしかったですね。それが何の曲かはお楽しみにさせてください。
――タイトルについてはいかがですか。
私の愛称が「あきら」ということで、「A」から始まるタイトルがいいなと思っていて。皆さんにいろいろと案を出していただいた中で、アルストロメリアというお花の名前があがってきました。私は花組出身ですし、アルストロメリアってすごくいろいろな色があるお花なんですね。このコンサートで自分のいろいろな色を表現していけたらおもしろいんじゃないかなと思ったので、このタイトルを選びました。
――アルストロメリアの花言葉は「未来への憧れ」「凛々しさ」とのことです。
男役としての引き出ししか私自身は持っていないので、そこから、一人の「瀬戸かずや」としてどんな表現ができるか、していきたいか、その理想やイメージはいっぱいあります。そういう意味での憧れもありますし、先輩OGの方々が退団後歩んでこられた姿も憧れの形としてあります。その中で自分自身がどういう表現をしていきたいか、どういうものが合うかということは、自由に選択したり考えたり感じたりしていきたいという思いも柔軟に持っているので、本当にありのままの私をお見せできたらいいなと思っています。
――スペシャル・ゲストで真琴つばささんと真飛聖さんが登場されます。
私が宝塚に出会うきっかけを作ってくださった真琴つばささんと、私の在団中にトップでいらした真飛聖さん。私がファンだった真琴さんと、一緒に舞台を作ってきた真飛さんとでは違う自分が現れるのではないかと思っています。お二方が今回ご出演を引き受けてくださったという事実だけでも私は幸せで胸がいっぱいで、お二人と作ることのできる時間を大切に楽しんで、その姿を皆様にお届けしていきたいと思っています。ダメ元というか、難しいだろうなと思ってお願いしたのですが、まさかのお返事をいただけたときは幸せで小躍りしました(笑)。ゲストで出ていただくなんておこがましいとは思ったのですが、これまでの自分の歩みにとって切っても切れないお二人だったので、お名前を挙げさせていただきました。
ヤンさん(ANJU)に、「一緒に何をしたいの?」と言われたとき、逆に、「私、真琴さんと何するんだろう……」と大興奮してしまって(笑)。ちゃんと考えなきゃなと。……考えるだけでちょっと赤面してしまうんですが。私も表現者としてしっかりそこに立たなくてはいけない、ファンであってはいけないと思うのですが、心躍る感はきっと駄々洩れになると思うので、温かく見守っていただけたらと思います(笑)。真飛さんとは現役時代ご一緒に舞台に立たせていただいていましたが、女優としていろいろな活動をされてきた中でまたご一緒できるというのはすごくスペシャルな時間じゃないですか。楽しみでしかないですし、あの曲が一緒に歌えるんじゃないかな……と思うと、わくわくします。
――真飛さんと一緒にあの曲というと……。
と、皆様も思ってくださっていると思うので、私自身も楽しみです。
――ANJUさんが初めてコンサートの演出を手がけられますが、どんな雰囲気になりそうですか。
私は、瀬奈じゅんさんにもすごく憧れていたのですが、退団されてから『ALive 〜Handsome Woman〜』というコンサートをされていました。「ハンサム・ウーマン」という言葉がすごく素敵で、自分もそうありたいなと思ったんですよね。かっこいい女性ってみていて素敵だなと私は思うし、男役をやってきたという経歴ってなかなか独特じゃないですか。そんな経歴をもった自分がどんな表現ができるのかなと思うと、いきなりかわいくなれと言われたって絶対無理なので(笑)、そこじゃない自分を探したときに、「ハンサム・ウーマン」ってすごく素敵な言葉だなと思って。その思いはヤンさんにも伝えました。宝塚の現役時代を思い出させるようなかっこいい面もあれば、そこからの変化の途中の様、女性らしい部分も見え隠れするような、そんなコンサートになったらおしゃれじゃないかなと。まさにそれって、今のこの時期にしかできないものだと思うので。退団後初めて、「コンサート」という自分を表現できる場をいただけたので、そこは模索しつつ、できることを楽しみたいなと思っています。
――退団後の生活や心境の変化が今回のコンサートにどう反映されるのか、楽しみです。
舞台に立てること自体が当たり前じゃないということは、2011年の東日本大震災のときにも思っていて。忘れていたつもりはなかったんですが、今のこのコロナ禍という状況で改めてそのことを思い出しました。舞台に立つことも、皆さんが観に来て下さることも当たり前じゃない。その大切さを知った上で、今こういう機会をいただけるということにきっと意味があるんだろうなと思うんです。だから、私がこうしたいああしたいということだけじゃなくて、もうちょっと違った面からのアプローチや、いろいろな思いを乗せていったらいいんじゃないかなと。
私が皆様にお伝えできることってなんだろう、というのは、改めて退団後考えていたところではありますね。(退団してから)考え方が変わったわけではないのですが、時間の流れ方は変わったので。ゆっくり、朝が来て、お昼が来て、夕方が来て夜が来る、それを実感することなく一日が終わるみたい日が、在団中は多かったんです。ちょっとしたことなんですけれども、そんな変化だったり、喜びだったり、そういうことに気づける生活が今、楽しいです。つぼみが開いてきた、桜もうすぐ咲くのかなみたいな、そんな他愛のないことでも心は動くなと思ったし、ささいなことかもしれないけれども、そういう細かな積み重ねをいっぱいしていきたいなと思います。
――今後の活動の方針は?
まだはっきりとは決めていないんですが、今回のコンサートの中で、稽古をして舞台を作って皆さんにお届けする過程の中で、何か感じることがあるんじゃないかなと思っているんですね。宝塚を卒業して最初の舞台が『Greatest Moment』という宝塚のOG公演で、そんなに宝塚から離れていないところだったので。そして今回、自分のコンサートという形で、男性のダンサーさんだったり、今までとはまた違う流れで舞台を作るということを体験するので、そのあたりで、また自分の中で見えるもの、感じるものがあるんじゃないかなと思って。この先というよりまずはそこをめがけて生きていて、そこからまた、そのとき思うような先の流れ、その選択をしていけたらいいなと思っています。何でもやってみたいなと思いますね。
――ご自身、今の変化をどう楽しんでいらっしゃいますか。
ふっとしたときに何とも言えないかっこいいポーズを決めちゃう自分がまだ残っているんですけれども(笑)、でも、普段取り入れてこなかった洋服のジャンルを取り入れてみたり、自分自身が、「そう言えば本名の自分もいたよな……」と思い出す瞬間もあったりして。これまで芸名の自分、「男役・瀬戸かずや」としてどうやって生きていこうかなと考えていたので、本名の自分をそんなに使ってこなかったと思うんですけれども、「そう言えば私、こういう人だった……」ということを見つけながらも、芸名の自分と一致させる、一本にしていくという作業がちょっとおもしろいんじゃないかなと思っています。そういう意味で、宝塚の男役という肩書のあった瀬戸かずやがいて、ただの瀬戸かずやになった今の私が、本名の自分の部分もありながら、瀬戸かずやとしてもいられる、その軸が、私らしく立ったらおもしろいなとすごく感じているので、その軸探しを今しています。そのために今、いろいろなことにチャレンジしてみたり、いろいろなことを感じてみたりという感じですね。今回のコンサートに対しても、不安がないといったら嘘になるし、いろいろな思いを持っているんですが、やっぱり、卒業したからこそチャレンジできることが、まだこの先可能性としてたくさんあるということ、チャレンジできることがすごく楽しみでもあります。そのバランスをうまく保って、自分でも、すごく楽しい瞬間を発見できたらいいなと。かっこよくもあり、ちょっと色気もありながらも、最後はみんなで盛り上がっていけるようなコンサートになればいいなと思っています。
取材・文=藤本真由(舞台評論家)

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