GANG PARADE再始動、分裂から復活ま
でを振り返る

「パレエドは続く」というフレーズで締め括るポエティックなテキスト(それはのちに新曲の歌詞だと判明する)とともに「GANG PARADE 再始動致します。」という力強い文言が読売新聞の紙面に踊ったのは今年の元旦のこと。まるで予想だにしなかった展開に唖然とした人も多かったはずだ。なにしろメンバー本人たちすら聞かされていなかったサプライズである。あのGANG PARADEが、突如として再び動き出した。

GANG PARADE(ギャングパレード)というグループの近年の奇異なる変遷を駆け足ながらも辿っていきたい。

創設メンバー・カミヤサキの脱退

まずは2020年1月3日。グループの創設メンバーのカミヤサキが、春から始まるツアーの中野サンプラザ公演をもって脱退することを発表した。これは、GANG PARADEの大黒柱が抜けるということだけではなく、所属事務所であるWACK発足時の最初のプレイヤーがいなくなることを意味するもので、2014年からおよそ7年間に渡り、語り尽くせぬほどのトライアル&エラーを繰り返し、あらゆる艱難辛苦を乗り越えてきたカミヤが辞める決断をした衝撃は決して小さいものではなかった。2019年4月にようやくメジャーデビューまで漕ぎ着け、これからが勝負という時期だったはずだ。

しかしグループはカミヤの脱退を待たずして大きな変化を余儀なくされる。2020年3月末、WACKが毎年この時期に行なっている「WACK合同オーディション2020」で、GANG PARADEはGO TO THE BEDSPARADISESというふたつのグループに“分裂”して活動していくことが事務所代表の渡辺淳之介からアナウンスされたのだ。
カミヤサキというGANG PARADEの顔を失うタイミングでイメージの刷新を図ること、グループの人数をコンパクトにすることで個々のスキルやキャラの強化を狙ったように思えるが、もっとシンプルな渡辺のひらめきだったのかもしれない。なぜならWACKは変化を好み、“スクラップアンドビルド”ならぬ“スクラップアンドスクラップ”を信条としているからだ。壊して、壊してみせる。GANG PARADEは、改名やメンバー交換など、幾度となく手を加えられることで大きく変わっていった。このたびの分裂もスクラップアンドスクラップのバリエーションのひとつと言える。

「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」

それにしても思い切りのよさ、テンポの早さがあまりにWACK的である。なにしろ発表の10日ほど前にはプレデビュー盤の「GP?」がゲリラリリースされていたのだ。
GANG PARADEの頭文字である“G”と“P”をそれぞれ受け継いでスタートしたGO TO THE BEDS(ゴートゥーザベッツ)とPARADISES(パラダイセズ)だが、2020年の春は、世界が新型コロナウイルスによるパンデミックの最中にあった。先述したGANG PARADEのツアーは取りやめになり、5月22日にカミヤはライブを行なわないまま脱退(その後、クラウドファンディングで支援を募り、ちょうど1年後の5月22日にGANG PARADEは1日限りのリユニオンを果たし、カミヤのラストライブが開催された)。GANG PARADEの歴史は一旦幕を閉じる。

ステイホームの期間があったからこそ、GO TO THE BEDSとPARADISESには十分の時間が用意されたとも言える。7月にはそれぞれのグループ名をタイトルに冠したフルアルバムがリリースされ、8月に初ステージに立った。
GO TO THE BEDS「Don’t go to the bed」Music Video

GO TO THE BEDSはヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5名で構成。結成当初の衣装の肩には“老”の字があしらわれていて、一方のPARADISESは“若”になっているということは、WACK内のキャリアで振り分けられたのだろう。グループ名は直訳すると「ベッドに行け」。もともとはベッドではなく墓(GRAVES)という案もあったらしく、つまりは年長組への引退勧告をギャグにしているというぶっ飛んだ名前で、エッジの立った楽曲のミュージックビデオは死やホラーをモチーフにしているものも多い。メンバーにかかる負荷がほとんどやぶれかぶれとも言えるほどの臨界点に達する「現状間違いなくGO TO THE BEDS」のMVは、文字通りの問題作だ。

PARADISESは、テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、そして研修生WAggから昇格したキラ・メイの4名で始まった。GO TO THE BEDSを陰とすれば「楽園」がグループ名のPARADISESは陽。こちらは明るくポジティヴな世界観が展開されていった。コンセプトが明確に可視化されたのは「TWINKLE TWINKLE」のMVだろう。水を浅く張った水しぶき舞うプールでパステルブルーの衣装を纏ったメンバーが眩しく歌い踊る姿はWACKのどのグループにも似ていない。
PARADISES「TWINKLE TWINKLE」Music Video

PARADISESはWAggとの連携を深め、ウタウウタの加入、月ノウサギのWAggへのレンタル移籍など、刺激策を採り入れながらグループの在りかたを模索していく。明るさだけではない「PARADISES RETURN」は感涙ものだ。一方のGO TO THE BEDSは2021年に入ると年間200本のライブを目標に掲げ、持ち前の泥臭さを武器に我が道をひた走っていく。その後、「WACK合同合宿オーディション2021」を経て、チャンベイビーがGO TO THE BEDSへ、キャ・ノンがPARADISESへ加入し、ふたつのグループはいよいよ独自のカラーを確立していく。
……と思えたのも束の間、2組にさらなる衝撃のニュースが走ったのは10月に開催された「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」でのことだった。GO TO THE BEDSとPARADISESのメンバーを総交換して活動していくことが発表されたのだ。トリッキーな策にようやく慣れてきたところでこの追撃。メンバーやファンはまたしても運命に翻弄されることになる。
トレード後のGO TO THE BEDS(月ノウサギ、キラ・メイ、キャ・ノン、テラシマユウカ)
トレード後のPARADISES(ヤママチミキ、ココ・パーティン・ココ、ユメノユア、チャンベイビー、ユイ・ガ・ドクソン、キャン・GP・マイカ)

しかしそれは裏を返せば、お互いのグループのレパートリーを叩き込むことでいつか両者が合流したときにどちらの曲も歌い踊ることもできるということで、いまにして思えば、GANG PARADE再始動の可能性が示された瞬間でもあったのだと思う。
ただ、そういった期待よりもこの采配の衝撃や戸惑いのほうが圧倒的に大きかったのは事実。本人たちは分裂の後になんとか活路を見出そうとしてきたなかで、ライバル的な存在であり、個性も正反対のグループのレパートリーをいきなり自分の持ち曲として歌うことの難しさに直面しないわけがないだろう。やるべき課題がひっくり返り、それを受け入れ、短期間で身につけるメンバーたち。想像を絶するタフさである。昨年11月にメンバー交換後の初ライブを見たが、驚くべきことに、元GO TO THE BEDSは間違いなくPARADISESになっていたし、元PARADISESは完璧にGO TO THE BEDSになっていた。

GANG PARADE再始動へ

GANG PARADE「PARADE GOES ON」Music Video

そして冒頭へと繋がる。2022年に入り、GANG PARADEが再び活動をスタートさせた。ふたつのグループは、かつて分裂したときと同じように唐突に合流するという宣言がなされたのだ。その模様はYouTubeの「DOCUMENT OF GANG PARADE “再始動”」で確認できる。なにも知らないGO TO THE BEDSとPARADISESの面々は大晦日に集まり、その数時間後にはGANG PARADEになり、1月2日にはステージに立っていた。恐るべきスピード感である。いくら年始だとはいえ、多くのファンがライブを見るために駆けつけたという事実も特筆すべきことだろう。それだけGANG PARADEのカムバックが待ち望まれていたのだ。その熱狂はあっという間に伝播し、翌日のライブ、そして東名阪ツアーへと広がっていった。ツアーのセットリストにはGANG PARADEのものだけでなく、GO TO THE BEDS、PARADISESの楽曲も含まれていた。
DOCUMENT OF GANG PARADE “再始動”

この2年を経て、GANG PARADEは新たに3人を迎え入れる形になった。その間に離れていったメンバーもいる。かつての形とは同じではない。レパートリーだって一気に増えた。その変化は、いついかなるときももがきながら前進を続けてきたことのなによりの証である。2022年は、これまでの紆余曲折をバネにして邁進するGANG PARADEの姿が見られるだろう。そのスピードに振り落とされてはならない。

GANG PARADE

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GANG PARADE再始動、分裂から復活までを振り返るはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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