大人な石原夏織はいかが?『ISHIHAR
A KAORI LIVE 2022「Starcast」-Veg
a-』昼の部レポート

2022.3.12(Sat) 石原夏織 LIVE 2022「Starcast」-Vega-supported by animelo mix@立川ステージガーデン
石原夏織の約1年ぶりとなるライブ『石原夏織 LIVE 2022「Starcast」supported by animelo mix』が行われた。彼女の最新シングル『Starcast』にちなんで”ベガ”と”アルタイル”と各公演には天体名が冠せられており、今回は3月12日に立川ステージガーデンにて開催された東京公演 “-Vega-”の昼の部の様子をレポートする。これまでの彼女を感じつつも随所に新たな試みが散りばめられ、まさに物語の新たな1ページをめくるようなステージが繰り広げられた。
まさに小春日和と呼ぶにふさわしい、春の訪れを感じる暖かさに包まれた3月12日の立川ステージガーデンにて行われた「Starcast -Vega-」昼公演のレポートをお届けする。本公演は今回お届けする東京公演の-Vega-と3月27日に神奈川県民ホールにて開催される神奈川公演-Altair-の2公演から成るライブで、既に公開されているライブのメインビジュアルからも読み取れるように、ベガとアルタイル、つまり織姫と彦星がコンセプトとなっており、実際にその意図は公演の随所に散りばめられていた。しかしながら今回は”ベガ”公演ということで、まるで七夕にまつわる物語のように、あくまで本日は”織姫サイド”の演出でライブが進行していった事を念頭に置いて頂きたい。
「雨が星になって降り注いだら、願い事をしよう……」
舞台の幕が上がると、彼女のモノローグから物語が始まる。まるで織姫が彦星に語りかけるように「いつか必ずキミを見つけにいくよ」とその想いを願いきると、石原夏織が「みんな!Starcast -Vega-公演、一緒に楽しんでいこうね〜!」と元気よく舞台上へと姿を現し、1曲目の「Orange Note」を歌い上げる。
「キミのこと思い浮かべると せつないの どうして?」。彼女の1stアルバムに収録の楽曲ではあるが歌詞の世界観に加え、kz氏編曲の爽やかなデジタルサウンドも相まって、まさに今回のライブの始まりにピッタリの選曲だ。続く「フィービー・フィービー」ではバックダンサーも登場し、アップテンポなナンバーに彩りを添える。これまた逢瀬を待ち焦がれる乙女の心情を描いた楽曲であるからして、察するにベガ公演とはそういうことなのであろう。
2曲を終えた所で「それでは早速ですが夏織ダンサーズを紹介させてください!」と名前を呼ばれると1人ずつキレの良いダンスを披露する。「続いては皆さんの番ですよ〜!」とペンライトを指定された色に変えて、彼女たちの動きに合わせて振っていくことで会場の一体感が高まる。続く「ポペラ・ホリカ」を歌い終えた直後のMCでは日本語が噛み噛みで上手く喋れず「あれっ?…えっ?」と思わず自分自身にクエスチョンマークが飛び出したが、直前までのキレの良いダンスからのギャップもご愛嬌。本人の口からも改めて本公演について説明があり「約1年ぶりのライブなんですけど、ベガとアルタイル公演、その昼の部ということでホントの初日の会にお越し頂き、本当にありがとうございます〜!」と挨拶を述べると、続いての楽曲へ。
本公演のタイトルにもなっている7枚目のシングル「Starcast」、そのカップリングに収録されている「わざと触れた。」をライブ初披露。HoneyWorksらしい夏の終わりのキュンとする恋物語を描いた楽曲は、まさに”夏の織姫”たる彼女が歌ってこそ、より映えるものがあるだろう。一抹の切なさを感じさせるピアノのメロディーラインから、そのままピアノイントロの「Plastic Smile」を続けて歌っていく。この2曲ではあえて映像演出に頼らず、舞台上ではダンサーと石原夏織が織りなすデュオダンスが繰り広げられる。ベガとアルタイルの物語を歌と踊りだけで表現していくこの演出は非常に素晴らしかった。
「そういえば、流れ星って見た事ないかも……」
舞台は暗転し、再びモノローグへ。会えない夜をいくつも数えて、まるでいつ現れるか分からない流れ星をいつまでも待ち続けているような気持ちに例える。ステージ上にはアコースティックギター、キーボード、そしてパーカッションが運び込まれ、そして純白のドレスに身を包んだ石原夏織が登場し、ここからはアコースティックパートへ。
まずは「キミしきる」「雨模様リグレット」を2曲続けて披露。歌いながら時折り見せるアンニュイな表情が、純白の衣装も相まって彼女の大人な一面を覗かせる。個人的には雨模様リグレットは「初めて”恋”を知った少女の淡い物語」的な解釈でもって親しんでいた楽曲だっただけに、アコースティックverで完全に大人な魅力に溢れる彼女の姿で上書きされてしまった。
「皆さんどうですか?驚きましたか?」と初挑戦のアコースティックパートを振り返ると、バンドメンバー紹介へ。パーカッションの若森さちこ、ギターのイマジョー、そしてキーボードのイマジュンこと今井 隼らが紹介されると、せっかくの生演奏ということで星にちなんでBUMP OF CHICKENの「天体観測」をカヴァー。自然と場内から手拍子も起こり、穏やかで暖かなムードに包まれる。
原曲とまた違った雰囲気を楽しめたといえば続く「Water Front」もそうだった。彼女の楽曲にしては語気が強めの歌詞が特徴的だが、アコースティック映えするアレンジに思わず肩を揺らして楽しんでしまった。「次がアコースティック最後の曲になります!最後はみんなでクラップして楽しんでいきましょう!」と手拍子を煽って「キミに空とクローバー」を披露。舞台上にはスモークが焚かれ、まるで雲の上のような世界が目の前に広がっていった。
「キミから届いた”会いたい”のメッセージ。願いが通じあったタイミングで空が嬉し涙を流した……」
会えない夜を乗り越えて、再び動き始めたふたりの物語。まるで天の川のような街の明かり、都会の喧騒に包まれて、ふたりを隔てていた横断歩道の信号が青に変わる。
青のドレスに着替えた彼女が現れ「Page Flip」を披露。過去のライブ映像がフラッシュバックのようにいくつも流れ出る演出はやっぱり感慨深い気持ちにさせられる。「新しい1ページを増やせるように、アコースティックに初挑戦したり、スタッフの皆さんと試行錯誤しながら作ってみました。いつも元気な私も良いな!って思いつつも、こうしてしっとりと歌えるような年齢になったのか……と自分でもちょっとビックリしました(笑)」と公演も終盤戦に差し掛かったタイミングでこれまでのライブを振り返った。
続く「虹のソルフェージュ」では、各々が思い思いの色にペンライトを点灯させ、虹色の景色を作りあげていったのが印象的だった。最後の曲はもちろん「Starcast」。降り注ぐ星空のようなLEDによるライティングで、曲の最後には「きっと今夜は星の雨になる」の歌詞通りの光景が目の前に広がっていた。
アンコール1曲目の「empathy」を歌い上げると「改めてになってしまいますが、今回のライブでは本当に今までと少し違った挑戦をいくつかしてみました」とアコースティックパートはもちろん、映像も一部作り直したりとVJ面でも変化があり「皆さん気付きましたか?VJもぜひね……ってもう過ぎちゃったか〜」と笑いを誘う。「ぜひ注目して見てね!って言おうとしたんだけど(笑)…まぁまぁ、この後に夜公演もありますし、神奈川公演もありますから!映像で言えば今回、幕間映像もモノローグを入れさせて頂きまして、アルタイルの方ではまた違った内容になっていまして、今回のベガと合わせて1つの物語になっているので、ぜひお楽しみに!」と3月27日の公演が楽しみになるトークも飛び出した。
「それでは続いての曲は4月27日発売の新曲です!」と「Cherish」をここで初披露。「みんあー!こっちだよー!」と再び夏織ダンサーズをステージへ呼び寄せると、ポップで可愛らしいダンスを見せてくれた。キャッチーでややコミカルさもあるサビの動きは歌詞にリンクしたダンスとなっているようで、「ぜひ歌詞カードを手に入れたら、多分その頃にはMVなんかも公開されていると思うので、歌詞と合わせて楽しんで頂けたらと思います!」と新曲のポイントを語った。
「次の曲で最後になりますが、皆さん最後まで盛り上がっていきましょう!」と「Face to Face」を歌い上げ、約1年ぶりとなるステージは幕を閉じた。
公演の節々でも語られていたように新たな試みが随所に散りばめられつつ、曲の間奏などでこまめに客席に向かって手を振り続けるいつもの彼女らしさもありつつで非常に楽しめたライブだった。彼女自身が語っていたように、元気いっぱいな笑顔と姿にこちらも元気を貰うような、そんなイメージがこれまでのアーティスト活動では多かったが、だからこそ一方で実は円熟していた彼女の人間味との部分のギャップに良い意味でやられてしまった……というのが本当に素直な感想だ。
いつものパキッとしたキレのあるダンスも、もちろん良いが、しっとりと時に物憂げな顔を覗かせて歌う姿にもシビれたし、たっぷりと堪能できたのも良かった。どのみち結局ゆるっとしたMCで癒される、といった安定感もまた好きなのだが(笑)そんなオンとオフのギャップもまた彼女の魅力なのかもしれない。とにかく、今日の公演ではそんな彼女の新たな魅力に気付けた訳なのだが、真昼の空に輝く一番星のように、まだこの輝きに気付いた者はそんなに多くないはず。アルタイルではどんな輝きを見せてくれるのか、楽しみにしたい。
レポート・文=前田勇介

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