「継承と進化のさらに先へ」「テイル
ズ オブ アライズ」舞台化に向けて
本田響矢 飯窪春菜 プロデューサー富
澤祐介氏が語り合う(後編)

25周年を迎えた歴史ある国産RPG『テイルズ オブ』シリーズの最新タイトル、「テイルズ オブ アライズ」がオンラインで舞台化される。『テイルズ オブ アライズ オンラインシアター リベレイターズ -希望を託されし解放者たち- New Attempt』と銘打たれた本公演では、バンダイナムコエンターテインメント本社ビル内にある、MIRAIKEN studioよりリアルタイムで演者による生の演技と映像技術が融合される新機軸の作品となる。
数々の賞を受賞しているシリーズ屈指の名作と言われる本作が今回どういう形で舞台化されるのか、主人公アルフェンを演じる本田響矢、シオンを演じる飯窪春菜、更に「テイルズ オブ アライズ」ゲームプロデューサーの富澤祐介氏もオンラインで参加。今回の舞台化、そして「テイルズ オブ アライズ」を今一度紐解く。
前後編の後編となる今回は、今回の舞台化におけるテーマ、そしてアクションに期待すること、富澤氏から演者の二人への役作りのヒントなど、盛り上がった会話をお送りする。
『テイルズ オブ』シリーズ ゲームプロデューサー 富澤祐介氏

■ジルファはある意味このアライズの作品全体を通して柱のような存在
――今回作品のタイトルとしては『TALES of ARISE Online Theater リベレイターズ』ということで、作品の中ではジルファやミキゥダという解放者達の物語に比較的焦点を当てた作りになってると思います。あえて解放者たちの物語に視点を合わせた部分は、プロデューサー目線でどういう印象を持たれていますか?
富澤:今回舞台のコンセプトを聞いた時に「なるほどな!」と思いましたね。ゲームでプレイヤー達がずっと付き合っていくのはアルフェン達6人のキャラクターですが、ジルファやミキゥダなどのキャラクター達は、レナに隷属を強いられるダナという星を解放したいという思いを持っています。彼らは特別な力は持っていないかもしれないけど、自分達なりの考えを持って解放への取り組みを地道にやっている人達なんです。
――確かにそうですね。
富澤:ここにどんな形でフォーカスが当たるかは観てのお楽しみですが、そこに注目していただいたのは個人的に凄く嬉しいんです。主人公達以外のキャラクターの台詞が凄く熱かったり、それを聞いた主人公達がその言葉を受け止めて、最後までそれを背負って行くような部分もこのアライズにはあるんです。特にジルファはある意味このアライズの作品全体を通して柱のような存在なんです。アルフェンやロウなどの彼と強く触れ合った登場人物達はジルファが残した言葉をずっと考え続けるんです。「俺の奴隷になるなよ」とかね。
――それは凄く印象的でした。
Tales of Arise™ & (c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
富澤:ダナの人たちは端的に奴隷として生きなければならないんですが、その立場からの開放というだけではなくて「自分が自分自身の主人にならなくちゃいけない」という思いもジルファは込めて発言しているんですよね。ある意味アルフェンやロウには早すぎる教えだったのかもしれませんが、この舞台でもいかにそういった言葉を自分の物として、パーティが成長できるのかどうか。更に闘いの中で散っていくキャラもいる訳ですけど、その想いを受け止めてアルフェンたちはどう先に進むのか、という部分が舞台の中でより濃く描かれていれば、ファンの方も凄く興味深くなるはずなので、その部分は期待したいです。
――僕もジルファはプレイアブルキャラとして使いたいと思うくらい魅力的なキャラでしたね。
富澤:そういったお声も結構頂きますね。それぐらいジルファは良いおっちゃんです(笑)。 愛されてると感じるので、ここで再登場出来るということで注目も集まっていると思います。
――アライズが凄く面白いし、見せ方が上手いなと思った部分の中に、主人公達が冒険して先に進んで行く。でもその後の戦いもずっと続いているというのがしっかり描かれている部分だったんですよ。
富澤:そうですね、久々にその場所に戻ると、ちゃんと彼らは活動して、その先の人生を全うしてるっていう所は描きたかった所ですね。
■ブーストストライクが演者さん達によって表現されるなら見てみたい
――そしてテイルズ オブと言えばアクションRPGとしての面白さもあると思います。それを舞台で演じられる所に対するプレッシャーはお二人いかがですか?
本田:僕、実はまだ今日の段階では殺陣の稽古をやっていなくて、演出もまだ伺えていないので、どう表現していこうかなっていうのと、どうなるんだろう! って思ってます(笑)。
飯窪:可能ならブーストストライクは絶対やりたいですね。キサラとリンウェルのコチコチハンマーとかもやって欲しい!各ブーストストライク全部やりたいですね。アルフェンとテュオハリムの衝破十文字とか凄いかっこいいし。リンウェルとのジェネシック・オレオーラムも見たい!
本田響矢、飯窪春菜 撮影:荒川潤
富澤:やったら舞台から飛んでいっちゃいますね(笑)。
飯窪:できればリンウェルにワイヤー付けてもらって、空飛んでもらいたいですね(笑)。
富澤:後ろのLED背景を使って上手くそのあたりも演出してもらえるなら、実際には飛ばなくても上手く出来るのかもしれないですけど。ブーストストライクは6人のキャラクターの掛け合わせで15種類あるんですけど、それ全部やるだけで舞台終わっちゃいそうですね(笑)。でもハイライトだとしてもヴォルラーンとの一戦は見たいですね。アルフェンが4回転半ぐらいしないといけない(笑)。
飯窪:「これで終わりだーっ!」ってアルフェンにやって欲しいですね。
富澤:そこは確かに! 僕があんまりハードル上げると嘘ばっかりになっちゃうかもしれませんけど(笑)。
――あくまでも富澤プロデューサーの願望ということで(笑)。
富澤:ブーストストライクはアライズのアクションの1つの華でもあったので、あのタッグ技が演者さん達によって表現されるなら見てみたいですね!
■今回の舞台はこれからも広がり続ける『テイルズ オブ』の世界の1つ
――では、せっかくこういう機会を頂いて3人が集まっているので、演者のお2人から富澤さんに質問があれば。
飯窪:自分で台本を読んで、ゲームもやって作り上げたシオン像があって、それが自分の中で正解のように思いながら演じているので、富澤さんからこういうシオンを演じて欲しいというのがあればお聞きしたいです。
富澤:なるほど、最初におっしゃっていただいたように、シオンは色んなものを背負っちゃってるからこそ、序盤なかなか素直になれない子だと思うんです。元は本当に素直なのに、みんなと触れあいたいっていう凄くシンプルなことが出来ないという事が彼女を縛ってしまってると思うので、そういった部分の辛さみたいな物を是非舞台の時間軸の中でも表現して頂ければ。ただツンツンしてキツイだけに見えちゃうと、なかなか受け入れにくいキャラに見えちゃうので、その裏の心っていう部分を表現していただけるように頑張ってもらえればと思います。
飯窪:はい!ありがたいお言葉です。これから稽古が本格化するので、取り上げていけたらと思います。
――ではアルフェンに関してもプロデューサーからいただければ。
本田:是非!
富澤:アルフェンは自分の記憶がないところから物語が始まるんです。普通は自分がわからないのに、あれだけ周りの為に立ち上がろうって気持ちになれるのか? と言われたら、僕も難しいと思うんです。だけど彼は周りを見て「これじゃいけない」って素直に思える。その素直さが何よりの武器だと思うんです。
――そうですね、先ほども出たアルフェンの主人公足り得る部分ですね。
富澤:はい、その過程の中で自分をだんだんと知っていくんですが、周囲との関係性の中で自分というものを見つけていく側面もありながら、案外兄貴分としてのしっかりとした所も元から持ってるっていう、他の人とはちょっと違ったバランスが面白さでもあり、難しさでもあると思います。生の演技でそういう多面性みたいなものをどう出していただくか……こんな事を考えるとたぶん頭が痛くなってしまうと思うので、今言ったのは無しにしましょう(笑)。
本田:いやいや! 嬉しいです。
富澤:でも素直に周りの事を心配出来る気持ちという所が彼の真っ直ぐさであり、ある意味大人な所でもあると思いますので、そこを本当に演じて頂くことがまずは大事かなと思いますね。
本田:ありがとうございます!
――これを受けてちょっと役作りも変わってくる感じがあるかもしれないですね。
本田:本当にありがたいですね。
富澤:なら全キャラ分書いときます(笑)。
飯窪春菜 撮影:荒川潤
――では、あらためてお2人から今回の作品に対する意気込みをおうかがいできれば。
飯窪:今回初めての試みでお届けするオンラインシアターは、壁も床もLEDのステージということで、ゲームとどう融合して行くのか、ファンの方も楽しみにしてくださってると思っています。とにかく配信でも伝わるような熱意をお届けしたいです。短い稽古時間の内に殺陣やストーリーもどんどん作り上げて、初めての試みが今後も続いて行くきっかけになるような物が出来たらいいなと思っています。
本田:僕自身こういった舞台に出演させて頂くのは正直初めてなんです。本当に右も左もわからなくて、周りの人に助けられながら作って行くことになると思うんですけど、今回全世界に同時配信されるっていうことで、今まで舞台を観に来た事がないような人達も観やすいと思うんです。今こういう時期、お家からでも観れるというのは大きいじゃないですか。あと衣装が凄く凝っているので、原作のゲームをやられてる方は「ここまで忠実に再現されてるんだ」と思ってもらえると思います。アライズを愛してる人達からも楽しんでもらえるような作品にしていきますし、飯窪さんが言っていたように、映像も含めて新しい試みになると思うので、みんなでしっかり作り上げていけたら。
本田響矢 撮影:荒川潤
――そして最後に、富澤さんからもお言葉をいただけないでしょうか。
富澤:ゲームをプレイして頂いた方からすると、非常に気になる部分を描いた作品になるでしょうし、お2人を始めリアルな演技と映像の融合で、見たことのない物になると思います。どんな表現になるか私自身も楽しみに観たいと思っていますし、今回の舞台用にゲームの主題歌をお願いした感覚ピエロさんに楽曲も書き下ろして頂いてるんですよ。
――そうですね、ゲームのオープニングテーマ「HIBANA」も素晴らしい出来でしたし、そこも注目ですね。
富澤:それも凄く嬉しい要素ですね。作りあげてきたゲームの要素というのを舞台用に再結成してるようなイメージもありますので、これまでの『テイルズ オブ』の2.5次元的な舞台ともまた一味違った要素とかも含めて、これまでの舞台化を楽しんでくださった方にも、全く違った魅力が提供出来るんじゃないかと思っているので、是非ご注目頂きたいです。それにまだアライズは3月で発売されて7ヶ月、半年とすこし経過したところなので、まだまだプレイした後の余韻が残ってる方もいらっしゃるでしょうし、今プレイしてるという方もたくさんいらっしゃると思います。これからも広がり続ける『テイルズ オブ』の世界の1つの新しい形としてこの舞台が成功する事を祈っております。
――そうですね、まだ発売から一年経っていませんもんね。
富澤:オンラインシアターなので何千人、何万人と一緒に観れる訳ですからね。ありがたいことに、本当に世界中で多くの方にプレイして頂いてるので、1人でも多くの方に舞台も楽しんでいただきたいです。僕たちも楽しんでいきたいと思ってますので、是非演者のみなさんも一緒に楽しんで、舞台を成功させられたらベストなんじゃないかと。一緒にアライズの世界を広げて行きましょう!
インタビュー・文=加東岳史 撮影=荒川潤

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