【ライヴ レポート】金属恵比須の3年
ぶり単独ライヴ「猟奇爛漫FESTVol.4
」~アーカイブ配信で追体験も、オッ
ケーです!

金属恵比須の3年ぶりとなる単独ライヴ・コンサート「猟奇爛漫FESTVol.4」が2022年4月30日、高円寺HIGHで行われた。金属恵比須のメンバーは昨年11月28日のDamian Hamada’ s Creatures(D.H.C.)としてライヴ演奏しているが、それは“改臟”された別人格でのものであり、この日の金属恵比須は新曲4曲を含む12曲をファンの前で演奏した。バンドにとってもライヴ・ハウスに足を運んだファンにとっても、待ちに待ったもので、気持ちの昂りを共有する素敵な時間だった。多少キレが鈍かったが高木大地のMCも嬉しい。
(撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
映画『八つ墓村』の音楽、「呪われた血の終焉」に誘導されてメンバーがステージに揃い、ハード・ロック・ナンバー「みつしり」で始まる。金属恵比須の音だ。続いて「武田家滅亡」。これまでなら稲益宏美が「タケダケ、メツボウ」と叫ぶと客席からも「タケダケ、メツボウ」と返ってくるが、今回はマスク着用のため、ご唱和はなし。だが一体感はある。と、ここでオルガンの音が出なくなるハプニングが発生し、しばし中断。直らないまま最初の新曲「魔少女A」へ。この曲は中森明菜からではなく、D.H.C.のアルバム『魔界美術館』からの流れなのだろう。
(撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
次は金属恵比須の大ファンであることを公言する作家、伊東潤との『武田家滅亡』に続くコラボレーション第二弾『家康謀殺』の「ルシファー・ストーン」だ。2019年に発表され金属恵比須の新たな代表曲となるべく進化しているこの曲で、バンドはさらに疾走する。栗谷秀貴の重低音のベース、小気味よいリズムを叩き出す後藤マスヒロのドラムとのグルーヴ感がとてもいい。後半は高木大地のトリッキーな様々な弾き方によるギターからMJ宮嶋健一のキーボードへと何度も繰り返されるバトルが楽しめる。
栗谷秀貴(b) (撮影:木村篤志)
後藤マスヒロ(dr) (撮影:木村篤志)
ここで新曲、「星空に消えた少年」と小松左京音楽祭で取り上げていた「ゴジラ」が頭をかすめる「ゴジラVSキングギドラ メインタイトル」が初めて披露される。数々の映画音楽、テレビドラマ、アニメの音楽で知られる渡辺宙明の作曲指導を得たという「星空に消えた少年」は、昭和の香りがするメロディの小曲だ。高木大地が1時間半で作ったと言っていた。話はそれるが、渡辺宙明が作曲した芸能山城組の『恐山』を高木大地と稲益宏美は聴いたことがあるのだろうか。後藤マスヒロが後ろにぴったりと置かれた大きな銅鑼を叩いて始まる「ゴジラVSキングギドラ メインタイトル」は、劇伴を意識したインスト曲。稲益宏美もスネア・ドラムを叩く。
高木大地(g,vo) (撮影:木村篤志)
稲益宏美(vo,per) (撮影:木村篤志)
こうして金属恵比須との邂逅に会場にいる全員が浸るなかで、誰もが待っていた「紅葉狩(第四部)」と「ハリガネムシ」が演奏される。ロバート・フリップのような高木大地のギターがプログレッシヴ・ロック・バンドの矜持を示す「紅葉狩(第四部)」だ。つながるように「ハリガネムシ」に突入。今度はハード・ロックで高揚する。栗谷秀貴、後藤マスヒロ、高木大地、MJ宮嶋健一の順で、稲益宏美に名前を呼びあげられたメンバーのソロ・パートはライヴの醍醐味だ。なかでも栗谷秀貴のベースはエネルギッシュで多彩な音を繰り出す。
(撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
曲が終わり高木大地と稲益宏美のかけあいによるMCの最中、突然ハモンド・オルガンが復活し、MJ宮嶋健一の顔に笑みが浮かぶ。新曲「誘蛾灯」は重くゆっくりと進むタイム感が心地いい重厚な曲だ。稲益宏美が低い声から高い声へと歌い分ける結構難しいヴォーカルに挑み、終始重さが支配するなかでキーボードとギターの一瞬フュージョンぽい展開が面白い。この後半に持ってきた新曲にはバンドの強い思いが感じられる。そして、ラストに向かって怒涛の「阿修羅のごとく」と「猟奇爛漫」。メロトロンの音が浮遊する感覚を生み出す「阿修羅のごとく」から、高木大地のヴォーカルの「猟奇爛漫」へとなだれ込む。ギターにメロトロンやオルガンが重なる演奏で、途中にお約束の〈猟奇爛漫体操〉の両手を震わせる体操指導を挟み、大団円となる。
MJ宮嶋健一(kb) (撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
メンバーがいったんバックヤードに消え、再びステージに戻ってのアンコールはおなじみの「イタコ」だ。金属恵比須のメンバーは有観客ライヴが出来た喜びを爆発させ、稲益宏美はステージを降り、MJ宮嶋健一はリボンコントローラーをキース・エマーソンのように使う。こうして久しぶりのライヴ・コンサートは終了した。ハプニングはあったが、満足のいく内容だった。このコンサートは生配信と2022年5月6日まで期間限定のアーカイブ配信という自宅などで楽しむこともできるものだった。
(撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
稲益宏美は、前日に雨降るなか日比谷野外音楽堂で行われた日本の錚々たる女性ロッカーたちのコンサート「NAONのYAON2022」に、D.H.C.のさくら“シエル”伊舎堂のバンドで出場していた。そのことを嬉しそうに語っていた。この2日続けてのライヴは稲益にとって忘れられないものになっただろう。金属恵比須の今後の予定は、7月にD.H.C.の名古屋、大阪、東京のライヴ・コンサートに参加、ロマネスコを再起動させたMJはアルバムを制作するようだし、金属恵比須としての新曲のレコーディングをするようだ。
(撮影:木村篤志)
(撮影:木村篤志)
文=山岸伸一  写真撮影=木村篤志

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