陳内将&加藤将「『だかいち』ファン
にも絶対に観てほしい」 舞台「紅葉
鬼」完結編は何通りもの解釈を楽しめ
る作品

『抱かれたい男1位に脅されています。』(月刊マガジンビーボーイ連載/リブレ刊:通称『だかいち』)は、シリーズ累計発行部数400万部を突破した人気コミックス。2018年に放送されたTVアニメも好評を博し、2019年には劇中劇の『紅葉鬼』が舞台化。2021年に続編である舞台「紅葉鬼」~童子奇譚~を上演し、2022年5月より、完結編舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~の公演がスタートする。
原作登場キャラクターである西條高人が演じる経若役には、初演から続投の陳内将。今作のキーパーソンである酒吞童子役(原作登場キャラクターは東谷准太が演じる)には今作から加藤将が参加。ふたりにインタビューを行った。
〈ストーリー〉
先の茨木童子との戦いで深手を負った経若は、数ヶ月ぶりに意識が回復する。
再び子鬼・いぶきの姿で経若と共に穏やかな時を過ごす酒吞童子だが、経若のある言葉をきっかけについにその正体を明らかにする。
そして酒吞童子は経若の生死を支配し、いよいよ宿願である帝狩りへと動き出す。
一方、帝は経若奪還のため維茂を呼び戻し、戸隠の頭目・繁貞に援軍を要請することを決意する。
鬼と人の行く末を決める最終決戦がはじまる──

――まずはそれぞれの役柄を教えていただけますか。
陳内:僕が演じる経若は、一作目では鬼の頭目として登場したんですが実は人間側の帝の子。育った場所に裏切られ、母も亡くし、唯一心の救いになった子鬼のおまんも亡くなってしまいました。絶望に次ぐ絶望が押し寄せてくるような展開の中で生きていく糧になったのが、現在戸隠の頭目となっている弟の繁貞。いつか鬼と人が共存できる未来を作ろう、そのために生きていこうという希望を持ちました。二作目では世捨て人のような感じで登場し、また子鬼と出会って戦わざるを得なくなる。運命に翻弄されているキャラクターです。
加藤:僕は今回から酒吞童子として登場します。二作目では小野友樹さんが酒吞童子の声を担当してくれていました。お客さんの中では、(酒吞童子に)残虐なイメージが強いと思います。でも、二作目のラストで子鬼のいぶきが酒吞童子だったのが発覚して。いぶきは経若を「父上」と慕っているけど、経若様はおまんを失った過去があるので中々心を開いてくれない。(経若は)子鬼と深い関係になって傷付いた経験があるし、繁貞がいて絆もあるけど、これ以上傷付くのは耐えられないと思う。考え出すと難しいですね。うまいこと「加藤はこう語っていた……」みたいな、ベテラン俳優っぽさ出しといてください(笑)。
陳内:(笑)。
加藤:格好良くないですか? お客さんに「こいつ何を言おうとしているんだ?」って想像膨らましてもらえたら(笑)。僕としては、いぶきに全てが詰まっていると思っているので、ぜひ注目してもらえたら。
加藤将
陳内:いぶきを見ろって話が出ましたけど、本当にそうで。三作目を見た後にいぶきの登場から見返したらゾッとすると思う。酒吞童子のことを知った上で出会いに戻った時の恐怖がすごいです。
加藤:確かに。でも僕はそのシーン、泣けると思う。
陳内:いぶきの事情を知ると、父上ってワードを選んだ理由も分かるからね。
加藤:すごく勇気が必要だっただろうなって。本当に大好きな人に会えたとき、例えばアイドルの大ファンの方が推しに会えましたってなっても、声掛けづらいと思うんです。……『紅葉鬼』は生き死にがかかっているので例え話としてはちょっと軽く聞こえるかもしれないんですけど、ここも「加藤はそう語っていた……」って大御所っぽく書いておいてください!
陳内:多分その表現使われないよ(笑)。
――完結編に向けた意気込みを教えてください。
陳内:いぶきがなんで近付いてきたのか。今は多分、酒吞童子の単なる戯れに見えると思いますが、ちゃんとバックボーンがあって。正義と悪が存在しているけど、どちらにもその人たちの正義がある。善し悪しを決めるのは第三者で、僕ら自身は正義と正義のぶつかり合いというか、自分の義をぶつけるしかないですよね。
加藤:自分の正義をぶつけるってことですよね。
陳内:!? それ今、言いました。
加藤:いや、いい言葉だなと思って。
陳内:びっくりした(笑)。
加藤:繰り返して言ったので理解しました(笑)。自分なりの義っていうのは、めっちゃ思いますね。日常を生きる僕らにもそれはあると思うし。これまで観たり出演した舞台の中で、ただ悪い印象で終わるキャラクターっていなかったんです。主役と対峙する側にも自分たちの正義があって貫き通してるから。酒吞童子が一般的には否定されることをしていても、僕は自分の義を貫き通したいですね!
陳内:(笑)。
加藤:今日イチ決まりました(笑)!
――加藤さんは今回からの参加です。酒吞童子は前作でかなりのインパクトを残しましたし、原作に登場する東谷准太もクレジットされています。舞台ファンはもちろん原作ファンの期待も大きいと思いますが、役作りはどう考えてますか?
加藤:役作りに関しては、「東谷准太」という役者が演じているキャラクターを僕が演じるという特殊なパターン。僕はこの作品に関する知識が周りの皆さんより少ないので、色々な方に聞いて、自分でも調べて作っています。原作がBLでも、役者としての彼ら(高人と准太)がBLっぽく見えるとは思っていないので、まずは酒吞童子として作っていきます。そのうえで、よりよくするためには准太も必要なのかなと。酒吞童子のキャラクターのベースに東谷准太もあるんですよね。ものすごく意識するわけじゃないけど、酒吞童子を極めるうえで准太の要素をプラスしたらもっと高みを目指せるんじゃないかと感じたので、そういう役作りをしたいです。
陳内:便乗して話をさせてもらうと、例えば扇子を使うシーンで(加藤は)経験がないと言っていて。僕は日舞をかじったことがあるので、惜しみなく教えたい、(教えることに)労力を費やしたいと思ったんです。そういう僕らの関係性も高人さんと准太のあり方に近いのかなと。
加藤:なるほど。
陳内:やっぱり先輩役者と後輩役者というのはあるし。お客様は舞台上の僕らの表現しか目撃しないけど、そこに至るには色々なプロセスがある。将くんの体を通して僕の経験も乗る。そこがエモいかなって。
加藤:エモいっすね! それはいい! 将さんは稽古場で既に高人さんなので、それを見て勝手にめちゃくちゃ(キャラクターらしさを)感じてます。だからこそファンの方には見てほしいし、この記事も読んでほしいですね。記事のタイトル「だかいち・紅葉鬼 陳内将、加藤将 絶対見てほしい!」にしておいてください。それくらい自信を持っていきたいです。

陳内将

――今お話を聞いていても仲の良さが伺えますが、お互いの印象はいかがですか?
加藤:シンプルに“格好いい”って言葉が似合う男性ですね。陳内さんはいい意味で繊細で、ある意味女性的。すごく魅力を感じますし、高人さんと同じくプロフェッショナルだと思います。彼自身がアートですね! 観にくる方は日本人が多いと思いますが、日本人はぜひ見るべきです!
陳内:どこに向けたメッセージなの(笑)?
――べた褒めされた陣内さんからはいかがでしょう。
陳内:彼がこうなので、僕の役割が自ずと決まって楽ですね。彼の辞書にもツッコミにもならなきゃいけないけど、それが苦じゃないです。稽古場で誰より汗をかいて練習する姿勢も見ているので。将くんってとても変わっている人で、宇宙人に例えられたりもするけど、僕はすごく人間くさいと思っているんです。すごく素直で、僕にないものをもっているので羨ましさもある。高人と准太の関係にも繋がりますが、経験は高人の方がある。そこで准太がぐっと人気になった理由は、笑顔が素敵とか現場でもみんなに好かれるような人間力だと思っていて。僕も将くんから溢れる人間力や積み重ねた努力の破壊力に食われるんじゃないかってゾクゾクするのが楽しいんです。一緒に努力するけど凌駕してほしいし、舞台上で「うわ、食われる!」って思いたい。
加藤:凌駕してみせますよ!
陳内:(笑)。
加藤:ほんまに、こう言ってもらえたらめっちゃ嬉しいし、絶対にそう思わせたいですね。マジ頑張ります!
加藤将
――稽古場の雰囲気や、面白いエピソードがあれば教えてください。
加藤:空気はいいですよね。
陳内:みんなが同じ目標に向かってまっすぐ進んでいますね。
加藤:面白エピソードは……。昨日が僕の稽古初日だったんですけど、机にでっかい緑茶二つとでっかいコーヒーが三つ置いてあって。この人どんだけストックするんだろうと思ったら陳内将くんで。その時点で面白かったのに、稽古終わる頃にはほぼ無くなってたんです。
陳内:そうだね、2.5リットル位飲んだ。
加藤:僕もカフェインをめちゃめちゃ摂るほうなんですけど、僕以上にカフェイン摂取してる人を初めてみて、負けてられないと思いました。
陳内:そこ?
加藤:カフェインを摂取してるから稽古で集中力を継続できて、疲れを見せずにいられるんだと思う。僕もたくさんストックしておこうと思います。もう一つすごいのが、(陳内は)そんなにお手洗いに行かないし汗もかかない!
陳内:そんなことないけど、役によって汗のかきかた変わらない?
加藤:変わります!あれなんなんだろう。
陳内:和装だとあんまりかかないかも。……稽古の話からずれてきてるよ(笑)。
加藤:面白エピソードはこれからどんどん発見します!稽古ではパーフェクト陳内将もたくさん見れるけど、実は抜けてるところやかわいい一面もたくさんあるんですよ。そういう一面を見た時にほっこりするし面白い。ファンの人に稽古を見てほしいです。絶対ギャップに落ちると思う!
陳内:あとは行成が楽しみ。そんなに強くないキャラだけど、演じる(相澤)莉多くんがめちゃくちゃ動けるし総合格闘技をやってるので、ふとした瞬間に強さが見えちゃうんじゃないかなって。
加藤:キレキレだったら面白いっすね(笑)。あと、まだ稽古でお会いできてないけど小野健斗さんの帝がすごく楽しみです。健斗さんの人柄がすごく好きなのもあるし、深い意味で面白いお芝居をされますから。帝もすごく人間味があると思います。
陳内:子役の子たちも本当に素敵だよね。Wキャストなんですが、表現の仕方が人によって全然違うのが改めて分かるんです。同じシーンの稽古で、武蔵くんと虎太郎くんが二回ずつやると僕は四回。でも飽きないんですよ。11歳なのにこんなにしっかりしてるんだって思う部分もあれば、11歳ってそうだよねという部分もあって、まだ親になったことはないけど親心みたいな感じで見ちゃいますね。
陳内将
――ネタバレにならない範囲で、お二人が注目してほしいポイントはありますか。
加藤:僕はさっき言ったようにいぶきのシーンですね。僕(酒吞童子)はいぶきがあってこそ。もちろん全体を見てほしいですが、酒吞童子を演じる僕の意見としては若様といぶきのシーンをすごく見てほしいと思います。
陳内:作品的にも僕ら二人的にも、立ち回りをしながらの会話に注目してほしいです。口で言う台詞にプラスして、刀にも思いが乗りますよね。台詞はこうだけど、裏にはこんな思いがあるっていうのも『紅葉鬼』の魅力。お客様によって受け取り方が違っていいし、何度か観てくださる方はその日によって解釈が違ってもいいと思います。いぶきを演じているのが武蔵くんか虎太郎くんかでもガラッと変わるでしょうし。
加藤:そうですね。お客さんの受け取りかたは本当に変わると思う。
陳内:“推しセンサー”ってあるじゃないですか。ロックオンして推し中心に物語を見るみたいな。酒吞目線と経若目線でも全く印象が違うと思います。
加藤:そうですね。そこだけでも見方は何通りもあるかもしれない。内容は変わらないけど、感じ取れることって変わると思うから。人間の無意識の部分に触れる何かがある、すごく素敵な作品だと思います。
陳内:なおかつ生演奏ですから。よく「同じ公演は二度とない」と言いますが、まさにその通りだと思います。芝居の熱量で演奏も変わるだろうし、セッションですよね。
加藤:怖いけど楽しい!ワクワクしますよね!
――最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
加藤:原作を知っている方にも、舞台ファンの方にもぜひ観てほしい作品です。良いと思ったら友だちとかにも勧めてもらえる作品だとお世辞抜きで言い切れる。そのために僕もひたすら頑張るので、ぜひ皆さん観にきてください。
陳内:この『紅葉鬼』は初演が夏で二作目が冬、今回が春。紅葉の時期には公演をしていないんですが(笑)、どの季節でも僕らがでっかい紅葉を作ってお客さまの心と脳に届けたという自信があります。秋には上演してないけど今回で春夏秋冬が完成したと僕は思ってて。今回もお客さまの心にどぎつい紅葉を焼き付けますので、ぜひ期待していらしてください!
左から 陳内将、加藤将
スタイリスト=MASAYA
取材・文=吉田沙奈 撮影=荒川潤

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