ピアノ音楽の魅力がギュッと詰まった
大井健のピアノの魅力を探る

YouTuber系のピアニストが奏でるJポップのカヴァーが人気となって、インストゥルメンタルピアノがブームとなっている。

そんな中、5年に一度の「ショパン国際ピアノコンクール」での日本人の活躍だ。
ピアノの魅力が世の中に溢れている。
ポップスからクラシックまで、ジャンルも世代も飛び超えた振り幅の大きな音楽をピアノで聴く快感といったら……。
「そんな夢のような時間をお届けしたい!」と語るピアニスト大井健に、あんなコトやこんなコトを聞いてみた。
―― 何枚かCDを聴かせて頂きましたが、大井さんのピアノはクラシックをベースに、ポップスやジャズ、洋楽がセンス良く融合しているように思います。どんなふうにキャリアを積んで来られたのでしょうか。
母親が家でピアノを教えていたので、ピアノの音を当たり前に聴いて育ちました。ピアノを始めたのは幼稚園に入ってから。その時から現在まで、ピアノを弾くのは大好きです。父親の仕事の関係で10歳の時に家族でドイツに渡りました。その頃には既に地元のコンクールで賞を貰っていましたが、両親は私をピアニストにするつもりはなく、ピアノは親子で楽しく過ごすためのツールのような感じでした。日本人が少ない地域だったので、まもなく単身イギリスに渡り、そこで初めて母親以外にピアノを教わりました。その方はメンデルスゾーンの子孫で、大作曲家の存在を意識するきっかけになったのです。クラシックを中心に、さまざまなジャンルの音楽を先生と一緒に楽しみながら学んでいくスタイルはとても有意義なものでした。コンクールや演奏会など経験をさせていただくにつれ音楽家になりたいと思うようになり、帰国して、国立音大の付属高校から大学へと進みました。
―― 決してクラシック音楽一辺倒という事では無かったということですね。
はい。読書も好きですし、スポーツもたくさんしました。しかし、生活の中心は紛れもなく音楽でしたね。もちろん洋楽もJポップも聴きます。それでも、自分の体の半分はクラシック音楽で出来ていると思います。
―― なるほど、そうだったのですね。大井さんは最近のインストゥルメンタルピアノブームを、どう見られていますか。
ストリートピアノの普及で、海外のように日常生活の中にピアノの音が自然な形で入り込んでくるようになりました。YouTuber系のピアニストが増えたのも、パブリックなスペースで気軽にピアノが弾ける環境が整ったことが大きいのではないでしょうか。彼らの中には、音楽理論を駆使したり、プロフェッショナルな演奏技術を持つ人も多いので、きっかけはJポップのカヴァーだとしても、リスナーは自然と彼らの弾くクラシック音楽にも耳を傾けています。中でもかてぃん(角野隼斗)くんの存在は大きいと思います! 今の様々なピアノブームは、クラシック音楽界にも新しい風を吹かせていると思いますね。
―― 大井さんが影響を受けた音楽家や、目標とするピアニストなどはおられますか。
ピアニストのグレン・グールドが好きです。先見性、革新性など、常に時代を先取ったピアニストです。
―― グレン・グールドですか、いいですね!「ゴールドベルク変奏曲」は古い録音と新しい録音では、どちらの演奏がお好きですか?
これは難しいですね。それぞれに魅力的ですが、うーん、1981年にステレオ録音した演奏の方が、ゆったりと堂々としていて今は好きですが、テクニックを前面に出した若々しい1955年のモノラル録音もよく聴きます。
―― さて、7月9日(土)には浜離宮朝日ホールにてコンサートを開催されます。どんなものになりそうですか。
2部構成で、第1部は「Left Hand」と題して、演奏されることが比較的珍しい「左手」のためのピアノ作品を演奏します。私自身、左利きということもあり、とても楽しみなプログラムです。2年前にソロ活動にシフトしてからずっと右手の不調を抱えていたので、今回まとまった静養期間をいただきました。その際に左手のための作品を集中的に学び、レパートリーに加えました。
第2部には、5名のスペシャルゲスト(加耒徹(バリトン)、淵野日奈子(ヴァイオリン)、為国健太(チェロ)、木村善幸(日本太鼓)、木村圭介(ダンス))をお招きします。最新アルバム『reBUILD』(2021)やデビューアルバム『PianoLove』(2015)にも収録されている楽曲から、ラヴェル、ラフマニノフなどクラシックの名曲まで、アンサンブルを中心にお楽しみいただきます。また、東京・丸の内の三菱一号館美術館で現在開催中の「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」で使用されている楽曲も演奏します。
―― 有難うございます。最後に「SPICE」読者にメッセージをお願いします。
昨年に引き続き、今年も大好きな浜離宮朝日ホールでリサイタルを開催できることに感謝申し上げます。ソロデビュー以来3度目の浜離宮。美しいメロディーを皆さんとともに。7月の夏の陽気に包まれて、どうぞご一緒に穏やかなひとときを過ごしましょう。
取材・文=磯島浩彰 撮影=敷地沙織

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