新たな景色を求め前進するテニミュ~
ミュージカル『テニスの王子様』4th
シーズン 青学(せいがく)vs聖ルド
ルフ・山吹 ゲネプロレポート

2022年7月5日(火)、日本青年館ホールにて幕が開いたミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs聖ルドルフ・山吹。前回公演から1年、4thシーズン第2弾となる本作は対戦校2校が登場し、3時間25分というボリュームたっぷりの公演に。熱戦に次ぐ熱戦が展開、20年目に突入(!)したテニミュ最新作のゲネプロと囲み会見の模様をレポートする。

場内暗転。ボールの弾む音、シューズの軋み、大きくなっていく歓声──そして一転明るくなった舞台上には青学(せいがく)の手塚国光と越前リョーマと大石秀一郎。『テニスの王子様』の物語を貫く大きな“芯”とも言える高架下での試合、手塚がリョーマに「お前は青学(せいがく)の柱になれ」と告げる名場面がプロローグだ。そこから「強くなりたい、もっともっと」とテニス魂を燃やすリョーマの「ガンガン行くよ!」の呼びかけが早速客席の心を煽り、オールキャストによるオープニングナンバーへとなだれ込む。始めは青学(せいがく)が、そこへ聖ルドルフ、山吹、不動峰……と他校が現れるたびにステージ上に違う色彩が加わり、全員揃ってのパフォーマンスへ到達した時に目の前に広がるカラフルなユニフォームの躍動はまさに青春の輝き! ほとばしる汗をイメージする照明効果とも相まった、キラキラとした光景が眩しい。
聖ルドルフ  (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
第一幕は都大会準決勝。不二周助の弟・裕太も在籍する日本中から勝つために集められた精鋭揃いの聖ルドルフとの対戦だ。マネージャー兼プレーヤーの観月はじめの綿密かつ周到で執拗な作戦の前に真っ直ぐなテニス愛で挑む青学(せいがく)。チームカラーの違いはあれど、ペア同士で培った信頼、自身が超えたいと思っているモノへの果敢なチャレンジ、大切にしている信念に忠実であることといった思いは共通。両者一歩も引かない試合展開となった。
山吹  (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
第二幕は都大会決勝、山吹との戦い。ジュニア選抜の千石清純が放つラッキーオーラと不穏な空気を纏った荒くれ者の亜久津 仁が同時に存在するこのチームの懐の深さは、本当に強い学校ならではの姿なのかも。拮抗した試合展開の果て、勝敗を決める最後の試合はリョーマvs亜久津のシングルス2へ。規格外の強さで猛攻する亜久津に少しも怯むことなく持ち前のゲームセンスで対抗、尻上がりにパワーを増幅させていくリョーマの小気味良いプレーが光る。テニスに複雑な思いを抱きながらもその面白さから逃れられない亜久津の葛藤も痛いほど伝わってきた。テニスの試合とミュージカルの融合というテニミュの真髄を気持ちいいほどに堪能できるこの一戦、非常に熱い!
テニスコートを囲うゲート式のフェンスや空間を斜めに切り取ったパネル型ネット、台座に乗った回転式の試合用ネットなどベースとなるセットは前回を踏襲。また、シーンによって短めのスロープも組み合わせ、それぞれを稼働させつつ多彩な場面を構成するのが4thシーズン流だ。特に今回は試合だけでなくテニス少年たちの様々な日常風景を豊富に織り込んだストーリー展開となっており、視覚的な工夫も多く見られた。
青学(せいがく)  (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
ベンチがひな壇ではなくなったことでそれぞれのキャラクターらしいベンチワークの表現がさらに広がったのも4thシーズンならではの魅力だが、印象深かったのはリョーマvs亜久津の試合。ステージ奥に応援している生徒たちがコチラを向いて横一列に並び、手前には中央のネットを挟んで両側にプレーヤー。客観的に見ればとても基本的な配置なのだが、一目でそこで起きているすべてを目撃できるこの“ベストポジション”は、シンプルだからこそこちらが受け止める熱も気迫も真っ直ぐに強大で、自分自身もスタジアムで同列に居ながらこのゲーム観戦に参加しているような気持ちに! リョーマのソロにみんなのコーラスが重なっていく音の分厚さにもどこまでもワクワクさせられる。そんな感覚もテニミュならではの喜びだ。
(左から)越前リョーマ役:今牧輝琉、亜久津仁役:益永拓弥  (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
都大会に出場している様々な他校の生徒の登場、キャラクター同士の日常的なやりとりなど、メインの試合の様子だけではなく舞台上にあるすべてに発見があり、観る者それぞれの楽しみが見出せるポイントも多い。原点を大切にしながら新たな景色を求め前進するテニミュ。関東大会も、みんな負けるな。
囲みコメント
■青学(せいがく) 越前リョーマ役:今牧輝琉
青学(せいがく)としてもリョーマとしてもまた熱い夏がやってきました! 昨年の不動峰公演から今回は都大会へとまた新しい物語が進んで行きます。 これからの初日が本当に楽しみだし、1公演の中で聖ルドルフ・山吹の2校との戦いを描くということもなかなかないこと。2校との戦いでそれぞれに違う人間関係やドラマが伝えられると思います。稽古場も本当に賑やかで、試合はもちろん、僕らの日常のシーンも楽しく観てもらえたらなと思います。7月に入りますます暑くなってきましたが、劇場の中はもっと“熱く”なっていると思います……心が。ぜひみなさんにそんな気持ちになってもらえるような素敵な舞台、男たちの熱い試合をお届けできたら。よろしくお願いします!
■青学(せいがく) 不二周助役:持田悠生
不二周助として舞台に立つのは2度目。これから初日公演なんですが、今から足が震えています(笑)。緊張してますっ! 今回の不二は弟の裕太への思いだったりシングルス2での観月戦での思いだったりが交錯していくところが見どころですね。本当に、今年も“熱い”夏がやってきました。それをこうしてみなさんと迎えられることが幸せです。劇場に来たみなさんに「素敵な1日だった」「ハッピーだったな」って思える時間をお届けいたしますので、ご来場、ぜひお待ちしております!
■聖ルドルフ 観月はじめ役:三井淳平
今日この日を迎えられて本当に幸せな気持ちでいっぱいです。稽古を乗り越えてきた仲間たち、そしてスタッフの方々に感謝しています。千穐楽まで一人も欠けることなく走りぬけたいと思います。役作りに関しては観月のように徹底的に調査を重ねて研究してきました。それがどう受け止めてもらえるのか……すごくドキドキしているところです。原作再現に非常にこだわって創っている部分も大きく、テニプリファンにもより楽しんでもらえる公演になっていると思います。かなりボリューム感のある内容になっています。ぜひ楽しみにしていてください。
■山吹 亜久津 仁役:益永拓弥
亜久津はあまり協調性のないキャラなのですが、亜久津の背負っている過去とか何故リョーマに執着するのか……というところにもぜひ注目してもらいたいです。亜久津とリョーマの試合はこの1試合の中にいろんなドラマが詰まっているので、個人的にも見どころだと思っています。僕は今回出演するにあたって原作コミックやアニメやテニミュの過去作品を好きな方だけでなく、実際にテニスをやられている方にも勇気を与えられる作品にしたいと思っています。そしてこの公演を観ていただいた方々に、さらにミュージカル『テニスの王子様』を愛してもらえるような作品にしたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
取材・文=横澤由香

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