同期コンビ 登堂結斗、天輝レオ「OS
Kはもっとパワーのある劇団になる」
――涙ぐみながら退団する先輩への思
いも語った連載『OSK Star Keisho』
最終回

1月より始まったOSK日本歌劇団(以下、OSK)のインタビュー連載企画『OSK Star Keisho』。最終回を飾るのは、男役スターの登堂結斗(とうどうゆいと)と天輝レオ(あまきれお)だ。7月9日(土)から京都・南座での『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」』の開催を目前に、上級生から教わった思いや、下級生に繋いでいきたいこと、そして退団を控えた先輩へのメッセージなど、胸中にある様々な思いを語ってもらった。さらに連載初回で出演した、専科の桐生麻耶(きりゅうあさや)との撮り下ろし写真も掲載。最後までスターたちの継承の物語を堪能してほしい。
――まず、おふたりの歌劇との出会いを教えてください。
登堂結斗(以下、登堂):高校2年生のときにBSチャンネルで歌劇を初めて拝見したことがキッカケです。幼少期は家族で『アニー』などのファミリーミュージカルをよく観に行っていたのですが、BSで初めて観た歌劇は、私が知っているミュージカルと全然違って。女性が男性を演じていて、不思議な世界だなと最初は思っていたのですが、お衣裳などの美しさに惹かれて、こういうミュージカルの形があるんだなと。最初の衝撃がすごく大きかったです。
天輝レオ(以下、天輝):北海道出身なので、生で歌劇を観る機会はなかったのですが、私も小学生のときに同じくテレビで歌劇の公演を観ました。そのとき、すごく華やかで、キラキラしている世界だなと感じて。そこから女性だけの劇団があるということを知りました。

登堂結斗
――おふたりはOSKの研修生になったタイミングで大阪に来られたんですよね。関西は街中に歌劇のポスターがあったりして、文化の違いを感じませんでしたか?
登堂:衝撃でしたね(笑)。歌劇もですし、街中を歩いていても芸人さんのアナウンスが流れていて、今まで体験したことがないというか。地元(宮城県塩釜市)では絶対にないことばかりで、最初は驚きの連続でした。劇場もこんなにたくさんあるんだ! と思いました。
天輝:関西は芸術文化が根付いているイメージがあったので、すごく興味があったんです。今、登堂が言ったように劇場が多いこととか、京都、奈良、兵庫などには歴史的建造物も多い。そういうものもすごく好きなので、関西に住めることが嬉しかったです。
――研修生のころはいかがでしたか?
登堂:下級生の頃は初めてのことばかりで、研修所の授業も、舞台に関することや日舞、バレエ、ジャズダンス、演劇、声楽など、普通の学校とはまた違った感覚でした。同期とも家族よりも長い、濃い時間を過ごして。研修所で2年間、学ぶということは、すごく特別なことだなと感じていました。
天輝:私は入所するまで習い事を何もしていなかったんです。ダンスも声楽も日本舞踊も入所してから始めたので、レオタードとか、バレエ用品の着方もわからなかったり、バレエシューズは左右あるのかと聞いたりというレベルの全くの初心者だったので、同期にはすごく迷惑をかけていました。なので、研修生の2年間と入団して1年目は初めてづくしの怒涛の日々でした。ワーッという感じで、目まぐるしかったよね。
登堂:何がわからないかもわからない。
天輝:そうなんです! 研修生の2年間は本当にあっという間に過ぎました。

天輝レオ
――初舞台のことは覚えていますか?
天輝:私達は舞台実習があって、舞台実習と初舞台の公演が一緒で、再演という形で初舞台を踏ませていただいたんですけど、難しかったよね。殺陣もありましたし、初めて男役ができるというのも貴重な経験でした。
登堂:2年間、研修所に通って、2年目でちょうど1期上の89期さんが大阪松竹座で初舞台を踏まれて。そのときの『春のおどり』を同期と観させていただいたとき、2年間お世話になった先輩方が舞台の上でラインダンスをされていて、キラキラ輝いていらっしゃるのを観て、私達みんな泣いたんですよね。
天輝:制服を着て観に行って、3階席で泣いて。あの時の気持ちは、なかなか言葉では言い表せないよね。
登堂:はい。特別な時間を一緒に過ごさせていただいて、ずっとお稽古されている姿も私達は見ていたので、感動もひとしおでした。私達も来年はあそこに立てるように頑張ろうと思ったことを覚えています。
登堂結斗
――では、先輩から教えてもらったこと、かけてもらった言葉で、今も大事に持っているものはありますか?
登堂:たくさんあるなぁ……。
天輝:そうですね、ありすぎてひとつに絞れないくらい……。私は人一倍、たくさんご迷惑をおかけしているので、いろんな方に教えていただくことが多くて。いただいたお言葉をすべて飲み込んでしまう性分で、それ以上に悩むんですね。なので、それで苦しい時期も多かったのですが、今となっては心からありがたいことだったと思いますし、皆さん、本当にお優しいなと思います。こんな私に声をかけてくださるんだ……と、めちゃくちゃ嬉しかったですね。そのことに気づけたのも、私自身、学年が上がっていったからだと思うので、今まで頑張ってきてよかったです。今は実際に言ってもらったことを下級生の子に、自分がわかる範囲で教えていきたいです。
――その時はわからなくても、急にわかったり、経験してわかることもありますもんね。登堂さんはいかがですか?
登堂:「私達には数十回の公演だとしても、お客様は1回しか観られない。だから1回1回をただこなすのではなくて、毎回、わざわざ劇場に来てくださって、大切な時間を私達に費やしてくださっているお客様のための「特別な1回」にしなさい」というお言葉はすごく印象に残っています。もちろん、たくさん観てくださる方もいらっしゃるのですが、私達も元々ファン側で、お客様の目線で観ていたときも、「あと1週間後に公演が観られる」と楽しみにしていたなと、自分の事に置き換えるとすごく特別な事だと思います。毎公演、特別な1回をお客様にお届けできるように、大切に舞台をするということを心がけています。
――それはどなたがおっしゃっていたんですか?
登堂:たくさんの上級生の方です。皆さんが、たくさんご経験された中で言ってくださったことなのかなと思っています。
天輝レオ (c)松竹
――登堂さん、天輝さんは下級生の方にOSKの何を一番伝えたいと思いますか?
登堂:男役でも、娘役さんでも、様式美や心の部分など、上級生の方からたくさん教えていただいたことがあるので、それを絶やさずに、確実に継承してほしいことがたくさんあります。男役だったらたとえば心持ちの面だったり、燕尾の着方であったり。娘役さんは娘役さんの在り方や、伝統のスカート捌きなどを、今後もしっかり受け継いでいってほしいと思いますし、私達も今、吸収できることは吸収して、それをまた教えていけるように、継いでいけるようにと思っています。
天輝:現在進行形で、技術面、精神面、表現、思考、立ち振る舞いなど、本当にいろんな方に教えていただいています。南座公演の稽古場でも、上級生の方にアドバイスをいただくことがすごく多いので、それをしっかり下級生にも伝えていきたいと思っています。そして自分が教えていただいたことを自分で止めてしまうのではなく、ちゃんと繋げて、その次にも繋いでもらう。歌劇の世界には「学年」があるので、それを数珠繋ぎのように繋いでいくこと。1個、2個、3個と繋がれば繋がるほど、100周年にも繋がりますし、結果としてそれが伝統になっていく。もちろん歴代の先輩方が紡いできたものを、今、私達はいただいているので、それを手放さずにちゃんと持って、そして下級生や次の世代にも伝えていけたらいいのではないかなと思います。OSKは、力強さとか、たくましさとか、すごくパワーのある劇団ですので、私達は中堅という立場ではありますが、上級生の方についていって、そういったことも表現できるようにしていきたいです。
「陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明」で登堂が勤める蘆屋道満
――『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」』のお話に移りたいと思うのですが、第一部「陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明」(「☆」は五芒星が正式表記)では、登堂さんは蘆屋道満の役ですね。
登堂:本当に改心をしない悪役というか、いわゆる「ザ・悪」という役は初めてさせていただきます。楊(琳/やんりん)さんが演じられる安倍晴明に対しての思いはすごくあるけれど、そこで会話のキャッチボールがあるわけではないという、今まで自分がやったことがないお芝居です。会話のキャッチボールはないけれど、楊さんと、そして作・演出の北林佐和子先生が作られる今回の新しい「陰陽師」の世界の一員としての役割を、蘆屋道満としてきっちり果たしたいと思っております。
――天輝さんはいかがでしょうか?
天輝:私は道満が操って鬼になってしまった人の一員や、荒ぶる炎とか、悪い方のチームで出るのですが、メインの方の周りで出させていただくことが多いと思うので、自分たちも感情の起伏を激しくして、お客様に躍動感とか臨場感を3D、4Dでよりお届けできたらいいなと、この作品を盛り上げる一員になれたらと今は意気込んでいます。でも緊張します(笑)。
登堂:緊張するね(笑)。北林先生の作品に出させていただくのが、私は『Dracula』以来で、そのときは、それこそいろいろなシーンを作り上げる一員として出させていただきました。今回はセリフのある役なのですごく緊張していますが、その緊張を良い方に出せたらなと思っています。
天輝レオ
――第二部の「INFINITY」は南座公演からのご参加ということで、ご覧になっていたときの印象と、実際に今、お稽古してみての印象の違いはありますか?
天輝:私は松竹座公演を拝見したのですが、「INFINITY」を観ているときはただひたすらに100周年のOSKに在団できていることに喜びと感激と嬉しさを感じて、ファンの方の一員になったかのような気持ちでした。今、実際に振りを覚えて一緒にやってみると、それはもう大変難しくて。OSKの歴代のナンバーや伝統を取り入れてくださったシーンがあり、一方で新しい今の風を吹かせるような場面もあって、その踊り分けだったり、場面の捉え方などが本当に難しく、ついていくのに必死な状態です。でも前にいらっしゃる上級生の方々が背中で引っ張ってくださっているので、その波にただひたすらに乗っていけたらいいなと思ってお稽古をしています。冒頭で<青い波>という歌詞が出てきて、まさに100周年のビッグウェーブですので、その波に乗っかっていきたいです。
登堂:私も大阪松竹座で拝見したときは、「私達は一体、どの場面に出るんだろう」、「すごく素敵でカッコ良い! だけど、どこで出るのか不安!」と(笑)。すごく華やかな舞台ですが、メンバーが変わるときっと作品もガラッと変わると思いますし、お客様もまた新たな「INFINITY」を楽しみにしてくださっていると思うので、お客様と楽しく、幸せで、かけがえのない時間を一緒に共有させていただけたらなと思います。
――新たなシーンも追加されたそうですね。
天輝:はい。タップの「恋のステップ」というシーンの後に登堂が入って、そのあと、楊さんと千咲(えみ/ちさきえみ)さんがデュエットダンスをされて、華月(奏/はなづきそう)さんと私とりつき(杏都/りつきあんと)と壱弥(ゆう/いちやゆう)の4名でダンスを踊らせていただきます。
登堂:そこは少しずつ大人っぽくなるというか、椿(りょうつばきりょう)くんがその前のシーンで歌っていて、そして私が歌わせていただいて、そのあとに桐生(麻耶/きりゅうあさや)さんが歌われるという、徐々に変わっていく色とか段階をしっかり表現できるように頑張らないといけないなと思っています。
天輝:新しく増えたシーンでは、一瞬なのですが、ふたりでちょっとだけ踊らせていただきます。
天輝レオ(左)と登堂結斗(右)
――おふたりはどんなコンビなんでしょう?
天輝:よく「どぅレオ」と呼ばれるのですが(笑)、どういうコンビなんですかね? そういう話をしたことがなくて、どう思っているか聞いたことがないんですよ。大丈夫かな? 私、ここにいて大丈夫(笑)?
登堂:ハハハ(笑)、ふたりで少人数公演をさせていただいたときなど、役替りをさせていただくことも多くて、「お互いの持ち味が全然違うね」とお客様から言っていただいて。でも「一見どちらかが白に見えて、どちらかが黒に見えるけど、意外とその逆も面白いね」と言っていただくこともあるので、それぞれのイメージにとらわれずに、ふたりともいろんな色を見せつつ、おもしろいコンビになったらいいなと思います。
天輝:私も色が出せるように頑張りたいです。
――南座では上級生の退団もありますね。
天輝:今回、男役では虹架(路万/にじかけろまん)さんと愛瀬(光/まなせひかる)さんが、娘役では遥花(ここ/はるかここ)さんが退団されます。私達は舞台実習、初舞台の『カルディアの鷹』の時から、虹架さんと愛瀬さんには本当にたくさんの公演でお世話になりました。教えていただいたこともめちゃくちゃ多かったので、南座でも吸収できるところは搾り取るぐらい吸収して、心に留めて、次の公演から生かしていきたいなと思います。
――1回1回のステージが貴重ですね。
天輝:はい。悲しいですけど、頑張って最後までついていきたいです。
登堂:稽古を進めていくと時間が経ってしまうというか、卒業される日が近づいてくるのがいやだなという思いがあるのですが、次の道に進まれるということなので、自分が吸収できることをしっかり吸収して、教えていただいて、背中を見て、一緒に過ごさせていただける時間、1日1日を大切にしたいなと思っています。
左から椿りょう、桐生麻耶、登堂結斗、天輝レオ (c)松竹
――では、連載『OSK Star Keisho』の最後の質問バトンを受け取っていただきましょう。アンカーのおふたりには、椿さんから「自分たちがこだわっていることで、100周年以降も後輩の方に引き継いでほしいことはありますか?」というご質問が届いております。
登堂:私は、歌劇としての品、男役としての品を損なわない舞台を心がけたいと思っております。
天輝:私は、歌劇の男役であるということはもちろんなんですけど、OSKの男役であるということにすごく意味を感じていて。OSKだからこそできる男役をそれぞれ何かしら持って存在していてほしいですね。あとは、髪型や化粧など何かこだわりを持っていてほしい。お芝居でもそうですが、ショーでもひと場面ごとのイメージ作りなど深いところまで考えられる男役にみんながなれたら、自然と娘役さんはついてきてくれると思うので、娘役さんを引っ張っていける、たくましい男役が増えてくれたらいいなと思います。そんな男役がたくさんいれば、もっともっとパワーのある劇団になるはずです。私たちも上級生から教えていただいたことがたくさんあるので、それらを下級生の男役には示せるようになりたいです。
天輝レオ(左)と登堂結斗(右)
取材・文=Iwamoto.K 撮影=田浦ボン

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