山崎育三郎の全国ツアー『LIVE TOUR
2022-ROUTE 36-』終結! 東京国際
フォーラムファイナル公演をレポート

山崎育三郎の全国ツアー『LIVE TOUR 2022-ROUTE 36-』が2022年7月3日(日)、東京国際フォーラム ホールAにてファイナルを迎えた。全国17都市を巡る、山崎自身過去最大規模のツアーで、山崎育三郎の魅力がたっぷり詰まった内容だった。最終日には、2023年夏に全国ツアーを開催するという速報も発表された。

 
SPICEでは、最終日(3日)のコンサートの模様を写真とともにレポートする。
 
14時開場。ツアーのテーマカラーであるターコイズグリーン色のTシャツを着たり、オフィシャルグッズのペンライトを持ったり、続々と山崎育三郎のファン、通称「いくとも」が集まる。女性が圧倒的に多いが、意外と男性の姿も見られて、ファン層の厚みを感じた。
15時開演。開演のアナウンスが終わると、自然と客席から手拍子がわき起こり、期待感が高まる。
このコンサートの前半は、夢に向かってひたむきに歩んできた一人の男の軌跡をたどるというストーリー仕立て。平 常(たいら・じょう)が操る人形が自身の半生をモノローグで語る映像が流れ、合間合間で、時々に寄り添った歌を山崎が歌っていく。語られるストーリーは、36歳になる山崎育三郎本人の回顧が元になっているが、人形自身は自ら「いっくん」などと名乗りはせず、あくまで「いつかどこか誰かの物語」という設定だ。

引っ込み思案だった男の子は歌と出会い、才能を開花させていく。ミュージカル『アニー』の代表曲「Tomorrow」やミュージカル『人間になりたがった猫』の「すてきな友達」のほか、全国童謡コンクール審査員特別賞を受賞したという「七つの子」を披露。今回のコンサートのために、山崎の母親のハーモニーを録音したといい、コンクール以来の“共演”を果たす。
 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
大好きな野球を辞めて、ミュージカルの道へ進むことを決意。3000人の子役の中から主役に抜擢された、小椋 佳企画のアルゴミュージカル『フラワー』の「フラワー」を歌い、自身のミュージカル人生の原点を紐解いていく。山崎が歌唱中に見せる、穏やかで、昔を懐かしむような表情が印象的だった。

やがて変声期を迎え、思うように歌が歌えない日々が続く。いちから音楽を勉強しようと、音楽大学付属の高校に進み、高校2年生のときにアメリカに留学。しかし、留学先ではアジア人がひとりという環境で、いじめの標的になり、孤独な時間を過ごすこともあった。帰国後も家庭の事情で、祖父母の介護と学業の両立を余儀なくされる。
そんな過去の自分へのメッセージだろうか。森山直太朗の「生きてることが辛いなら」を歌う。「生きてることが辛いなら/嫌になるまで生きるがいい」「生きてることが辛いなら/くたばる喜びとっておけ」。歌詞の一言一句が、山崎自身の境遇と重なる。その強いメッセージと歌声が観客の涙を誘う。
 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
そばにいてくれた親友たちに捧げる「The Longest Time」をステップを踏みながら歌唱した後は、ミュージカルソングが続く。山崎が19歳の時に挑戦した『レ・ミゼラブル』のオーディションのエピソードから、『レ・ミゼラブル』のマリウスメドレーがスタート。初期の「いくとも」にとっては、懐かしく、至福の時間だったのではないだろうか。
山崎が出演したいと夢見たミュージカル『モーツァルト!』『ミス・サイゴン』『エリザベート』。山崎はひたむきに努力を重ね、その夢見た作品すべてに出演を果たす。『モーツァルト!』からは「影を逃がれて」、『ミス・サイゴン』からは「アメリカンドリーム」、『エリザベート』からは「ミルク」と作品ファンにはたまらない選曲が披露された。
 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
30代になり、映像の世界に挑戦する山崎。思い出したのは、アメリカの留学中、ダンスパーティーで無我夢中に踊った時に感じた「一歩を踏み出す勇気」。恐怖の中にこそ新しい世界があると感じたという。歌ったのは「You Raise Me Up」。英語での歌唱で、字幕の日本語歌詞が映し出される。「あなたがいればどんな波も乗り越えられる」。前向きなメッセージと、支えてくれたファンたちへの感謝の想いがダイレクトに感じられた。ここまで映像の放映はあれど、MCを挟むことなく、36年の歴史を歌とともに一気に振り返ってきたので、観客としても「いっくん! こちらこそありがとう!」状態である。

 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
ようやくのMCコーナーでは、今回のツアーが初参戦など「ちょっとだけ育三郎のファン」という通称「ちょい三郎」が多かった会場の思い出話を引き合いに出しながら、東京国際フォーラムの会場(約5000席)が満席であることに感謝を述べた。ツアーファイナルということで、やる気満々のファンである「凄三郎」が多いことに安心した、とも。ツアーをともにしてきた4人のパフォーマー(小南竜平、鈴木サアヤ、高原紳輔、平山ひかる)の紹介をした後は、山崎自身も転機だったと語る、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『エール』の話へ。
演じた佐藤久志役はハマり役で『福島を歩いていると、久志と呼ばれる』と振り返る。この日のコンサートでは、主人公のモデルとなった古関裕而が手がけた曲をはじめ、作品を通して出会った「船頭可愛や」「丘を越えて」「長崎の鐘」を3曲続けて歌い、夏の高校野球のテーマソングとして知られる「栄冠は君に輝く」を熱唱した。
 
『エール』の中では役として、甲子園球場のマウンドで、「栄冠は君に輝く」をアカペラで歌ったわけだが、もともと野球少年だった山崎にとっては、それは特別なものだった。本作の出演は、年末の紅白歌合戦の出演へとつながり、山崎育三郎という表現者が舞台ファンのみならず、全国に知られるようになった大きなきっかけと言ってもいいだろう。コロナ禍で高校野球の全国大会が中止になる中、球児の思いを背負って作り上げたというオリジナルソング「誰が為」も続けて披露された。山崎は「栄冠は君に輝く」と「誰が為」について『2つでひとつの物語になっていると思う』と紹介していた。
オフィシャルのグッズ紹介を挟んで、コンサートはいよいよクライマックスへ。「君は薔薇より美しい」や「僕のヒロインになってくれませんか? feat.3時のヒロイン」、「Congratulations」と明るくポップな曲調が続いた。客席も総立ちで一体感が高まる。舞台の左右に大きなスクリーンが配置されていて、常に山崎の姿が映し出されるのだが、山崎がカメラワークを意識して“完璧な姿”を見せてくれるので(目線のみならず、ウインクまでしてくれるのはさすがだと思う)、2階席からの参戦で舞台からの距離があったとしても、十二分に「いっくん」を楽しめた。
 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
アンコールでは、出待ちの対応が3、4人だったデビュー当時から、徐々に人数が増えていき、『モーツァルト!』のときは2時間近く対応していたことや、はじめてのファンクラブイベントの様子などを振り返りながら、『こんな大きな会場でコンサートができるようになったのは、ずっと応援してくださるみなさんのおかげです』と、改めてファンに感謝を伝えた。そして、森山直太朗が作詞・作曲をした「君に伝えたいこと」を最後に選んで、披露した。

パフォーマーやミュージシャンのメンバー、一人ひとりから一言ずつ挨拶をもらう。この日は、特別ゲストとして、人形劇俳優の平 常も登場し、『いっくんの魅力はライブのときに炸裂する。舞台上で見られる機会はしばらくお預けですが、またホットな時間を楽しみにしていたい』などと挨拶していた。
山崎は『とにかく多くの皆さんのおかげ。チームやスタッフに支えられラストを迎えられて感動しています。一人じゃ何もできません。また必ず会える機会を作りたいと思っています。ありがとうございました』と改めて謝辞を述べて、『これからの山崎育三郎にもどうぞご期待ください』と締め括った。36年間の軌跡を振り返りながら、童謡からミュージカルソング、そしてポップスと幅広い歌を披露した山崎。「ちょい三郎」だった筆者もすっかり「凄三郎」に変えられた。これからどんな姿を私たちに見せてくれるのか、今後の活躍にますます期待がかかる。

 撮影:Naoto Hayasaka (Y’s C)
取材・文=五月女菜穂

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