マイケル・ジャクソンを蹴落として、
全米No.1に輝いたニルヴァーナの
代表作『ネヴァーマインド』

アルバム『ネヴァーマインド』

静と動のコントラストを大胆に使い、聴き手に特大のインパクトを与えるニルヴァーナ・スタイルを代表する1曲と言ってもいい「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」をはじめ、ここにはフォークロック、ハードコア、弾き語りのバラッド、パワーポップといった多彩な曲が収録され、彼らがグランジというジャンルに収まり切らない可能性を持っていたことを印象付ける。カートが洗練しすぎたと後悔したプロダクションだって、多くの人にアピールできる曲の魅力を考えれば、レコーディングにおけるギミックを使っているとはいえ、洗練しすぎたなんてことはこれっぽっちもない。
たぶん、『ネヴァーマインド』が大ヒットしなければ、逆にカートはなぜこれが受け入れられない?!と憤慨したんじゃないか。若者の鬱屈を歌った時代のアンセムと大歓迎された「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」がそもそもは究極のポップソングを作りたいと考えたカートがピクシーズのスタイルとボストンの「宇宙の彼方へ」のリフを拝借して作ったことは有名な話だが、“ティーン・スピリット”という言葉が使われているせいか、何かのスローガンにも思えるタイトルも元ネタはカートの友人だったビキニ・キルのキャスリーン・ハンナが彼のベッドルームの壁に落書きした「カートはティーン・スピリットの匂いがする」という戯言だった。
“ティーン・スピリット”とは実は腋臭の消臭剤の商品名。当時、カートが付き合っていた女性がこのティーン・スピリットを使っていたそうだ。つまり、“ティーン・スピリットの匂いがする=それを使っているあの子とセックスしているでしょ”という冷やかしがその後、時代のアンセムになってしまうところが曲のインパクトとそれを演奏したニルヴァーナのすごさでもあるわけだけれど、半ばジョークで作ったようなポップソングがそんなふうに過大評価されたことが後々、カートを追い込んだんじゃないかと思うと、なおさら『ネヴァーマインド』を気楽に楽しもうという気持ちにもなるではないか。

著者:山口智男

OKMusic編集部

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